力強さでディーゼルに軍配が

新型ゴルフのハイライトの一つがデジタル化だ。インテリアは物理スイッチをできるだけ廃してディスプレイを中心に、直線基調のシンプルな造形となっている。ドライバー正面のメーター類は10.25 インチの液晶ディスプレイに、そしてダッシュボード中央には10インチのタッチ式ディスプレイを備えたインフォテイメントシステムがドライバーに向け傾斜をつけて配されている。

センターコンソールにある、シフトセレクターはバイワイヤ化されたことでコンパクトなスイッチとなった。その奥にあるスタート/ストップボタンを押せばエンジンが目覚める。さすがにコンパクトハッチバックなので、まったくディーゼル音がしないわけではないけれど、走り出してしまえば気にならなくなるといったレベルだ。エンジンは1600回転で最大トルク360Nmを発生するから、アクセルを大きく踏み込む必要もないし、とても扱いやすい。

高速道路では1500回転くらいで100km/h巡航が可能だから、エンジン音はまったく気にならなくなる。またディーゼルモデルではリアサスペンション形式がマルチリンク式になっているだけあって、乗り心地もしなやかだ。試乗車は4つのグレードが用意されるTDIの中でもっともスポーティーなR-Lineだった。専用のエクステリアやスポーツシート&ステアリング、スポーツサスペンションなどを備えたスポーツ仕様だ。ディーゼルでも思いっきりワインディング路も楽しめる。

そしてTDIはエントリーグレードのActive Basicでも同一車線内での全車速運転支援システム「トラベルアシスト」やデジタルメータークラスター「コックピットプロ」、さらにシートヒーターやステアリングヒーター、走行モードの切り替えが可能なドライビングプロファイルなどを標準装備するのもうれしい。装備充実で400万円を切る価格設定のActive Advanceというグレードも魅力的だ。
ガソリンのマイルドハイブリッド仕様「eTSI」ももちろん悪くないのだけれど、やはりエンジンの力強さという面ではTDIに軍配があがる。つい紋切り型の結論になってしまうけれど、最新のゴルフは最良のゴルフであり、そのディーゼル仕様は小さなグランドツーリングカーだ。
文・藤野太一 写真・フォルクスワーゲン グループ ジャパン 編集・iconic