良好な乗り心地でファミリーカーにも使える
動き出しの滑らかさはゴルフの美点の一つ。そしてパワー感はもちろん申し分ない。DSGも切れ味鋭くシフトチェンジしてくれる。足まわりにもGTI専用のチューニングが施されており、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロック機構と、ブレーキをコントロールする電子制御式ディファレンシャルロックXDSとを統合制御することでダイナミクス性能に磨きをかけており、タイトコーナーでもアンダーステアを抑制し、俊敏かつ正確なハンドリングを実現している。
試乗車の足まわりにはオプションのアダプティブシャシーコントロール“DCC”が装備されていたが、コンフォートからスポーツまで段階的に減衰力の調整が可能。オプションの19インチタイヤが装着されていたが、乗り心地は良好でこれなら家族から不満を言われることもないだろう。
フォルクスワーゲン ゴルフGTI のディテールをチェック(画像4枚)
ドイツをはじめ欧州では、脱炭素社会の実現に向けて急激に電動化が進んでいる。フォルクスワーゲンもその例にもれず本国ではすでに電気自動車のID.シリーズのラインアップ拡充を図っている。しかし、その一方で彼らにとって唯一無二のアイコンモデルであるゴルフ GTIの開発はしっかりと継続してきたというわけだ。ステークホルダーに対して電動化のアピールはやりつつも、内燃エンジン車の楽しさは諦めないというのが本音かもしれない。いずれにせよ、いまのうちに享受しておきたいクルマであることは間違いない。
文・藤野太一 写真・河野敦樹、フォルクスワーゲン グループ ジャパン 編集・iconic