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従来とは異なる魅力を備えた、スムーズな走りのEV

BMW iXシリーズ

iXには「xDrive50」と「xDrive40」、そしてMモデルの「iX M60」という3つのラインアップがあるが、試乗車は「xDrive50」だった。

前後アクスルに1基ずつ計2つのモーターを搭載する4輪駆動で、システムトータルの最高出力は523ps、最大トルクは630Nm、0-100km/h加速4.6秒と十二分に速い。駆動用バッテリーの総電力量は111.5kWhと現在、国内で販売されているEVとしては最大級のものだ。よって1充電あたりの航続距離は650km(WLTCモード)にまで伸びている。普通充電で11kW、急速充電で150kWに対応しているので、自宅や周辺の充電環境が整っているのであれば、使いやすいだろう。

「xDrive50」は、4 輪アダプティブ・エア・サスペンションを標準装備しており、試乗車はオプションの22インチの大径タイヤを装着していたが、まったくかたさを感じさせることなくフラットな乗り心地をみせる。また後輪を操舵するインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングも装備しており、低速域では後輪を最大3.2°逆位相(前輪と逆方向)に操舵することで取り回し性を向上。高速域では、後輪を最大2°同位相(前輪と同方向)に操舵することで、安定したコーナリングや高速ではスムーズなレーンチェンジを実現している。

回生の度合いは「アダプティブ」、「高い」、「普通」、「低い」の4つの選択肢があるが、いわゆるワンペダルフィーリングが好みなら「高い」を選択すればいい。日常使いとしては、カメラなどを使って前走車の有無や車間距離などもセンシングしながら自動で回生度合いを調整してくれる「アダプティブ」がいいだろう。

走行モードは3段階で調整が可能。それに応じてアイコニック・サウンド・エレクトリックという疑似エンジン音がスピーカーから聞こえる。これは映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』などを担当したドイツ出身の映画音楽作曲家ハンス・ジマーにより作曲されたサウンドだそうで、3つの走行モードのうちPersonalを選択すると音響の全体バランスを重視、 Sport を選択するとサウンドを強調、Efficient を選択するとサウンドオフとなる。この疑似エンジン音に関しては、いま各社がさまざまな取り組みを行っているが、このBMWのものはなかなかユニークだ。

Sport モードへ切り替えると、ダンパーが固くなって、車高が下がり、アクセル操作に対してレスポンスよくパワーがあふれ出てきて、アイコニック・サウンドは大いに高まって、もちろん速いのだけれど、大柄なSUVということもあってか、そんなに気持ちは盛り上がらなかった。

ハンドル
音声入力システムのインテリジェント・パーソナル・アシスタントは、Amazon Alexaも採用される。

それよりもサウンドをオフにして、通常はスタジオスピーカーなどに用いられるダイヤモンドを使用したツイーターを2つ装備するBowers & Wilkins ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システムを鳴らしてみたが、その音の響きに驚いた。これまで過去に聞いてきたメーカー標準搭載カーオーディオとしては、ナンバーワンかもしれないと思った。新しいデザインや操作系、ここに書き切れないほどさまざまなデジタル機能など、良い意味で従来のクルマ好きが好むBMWとは違う、新たな顧客にアピールする魅力があると感じた。これも新世代の“駆けぬける歓び”といえるのかもしれない。

文・藤野太一 写真・柳田由人 編集・iconic

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