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浮遊感と接地感、相反する乗り心地を両立させる

DS7クロスバックのリア
基本的にエクステリアもガソリンモデル同様に。フロントやリアなどにE-TENSEのロゴやバッチがさりげなく備わる。

走行モードは、電動走行する「エレクトリック」モードがデフォルトとなっている。それ以外にもっともエネルギー効率のよい「ハイブリッド」モード、マルチファンクションカメラによる画像解析で前方の路面状況をセンシングして、サスペンションを自動制御するDS アクティブスキャンサスペンションが最大限の効果を発揮する「コンフォート」モード、内燃機関のポテンシャルを引き出す「スポーツ」モード、前後のモーターを独立して制御しトラクションを最大化する「4WD」モードと、計5つの設定がある。4WDモードは、通常のシステムとことなりモーター駆動ゆえにプロペラシャフトの機械的結合がないため、前後の駆動力を独立してコントロールが可能。そのため路面状況やドライバーの意図および操作に対してリアルタイムで駆動力の最適化を行うことができる。

DS7クロスバックのタイヤ
減速時の運動エネルギーをバッテリーに充電する回生ブレーキシステムを採用。シフトのDモードではガソリン車と同様のエンジンブレーキの感覚、Bモードではさらに強い利きで効率的に充電する。

バッテリー残量が十分であれば、EV走行で最高速度は135km/hに到達する。仮にエンジンが始動してもまったくギクシャクする感じはなく、その切り替えは実にシームレスだ。高速道路を走行する際はエレクトリックかハイブリッドモードにしておくといい。コンフォートモードよりもダンピングがきいており、独特の浮遊感と重厚な接地感という相反するような感覚をともなった、これぞDSというべきライドフィールが味わえる。そしてPHEVゆえの静粛性の高さもあいまって、フラッグシップモデルにふさわしいラグジュアリーなモデルに仕上がっている。

DS7クロスバックの充電口
普通充電のみに対応。200Vの6kW充電で、100%まで約2.5時間かかる。

DSオートモビルとは、ヘリテージとアヴァンギャルドという一見相反してみえるようなふたつの要素が内包するブランドという。たしかにシトロエンから独立し、本来的にはコンサバティブであろう大統領専用車をSUVで仕立てる手腕はなかなかにアヴァンギャルドとも言える。DS 7クロスバックは電動化によって、上質性と心地よいスポーティネスの両方を手に入れている。DSはこのドライビング体験を「Dynamic Serenity(静謐なるダイナミズム)」と定義づけているというが、なかなかに言い得て妙だと思う。

文=藤野太一 写真=河野敦樹 編集=iconic

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