グレナディアの開発が初めて発表されたのは、2017年。当時、妥協のないオフロード性能で人気だったディフェンダーが、68年ぶりにフルモデルチェンジを行ったのが、開発のきっかけだったという。ディフェンダーは長年、ラダー(はしご型)フレームという強固な骨格を採用し、直線基調の角張ったエクステリアを備えていた。ところが、この新型ディフェンダーはモノコック構造を採用し、従来モデルより丸みが加わったエクステリアに。基本からデザインに至るまで、すべてが新しくなってしまったのだ。
ディフェンダー愛好家であるイネオス会長のジム・ラトクリフ氏は、愛好家にとって“ヤワになってしまった”新型に満足できなかった。そのため、6カ月間の実現可能性調査を経て、自身を含めた愛好家たちが、真のオフロード体験を味わえる新型車を自社で開発すると決心したという。グレナディアの開発という、数億ドルをかけた一大プロジェクトがスタートしたのだ。
「グレナディア」のディテールをチェック!(画像4枚)
これにより、イネオス オートモーティブ社を新設。メルセデス・ベンツ GクラスやBMW 5シリーズ、ジャガーIペースなどを生産する、マグナ シュタイア社が製造を担当することが決まっている。
本格オフローダーを名乗る、グレナディアの主要部品に一切の妥協はないという。ディーゼルとガソリンが用意されるパワートレインは、耐久性と性能の高さからBMW製ツインターボエンジンを採用。骨格ももちろんラダーフレームが取り入れられた。また、各種パーツもおよそ100社のサプライヤーのものを、テストしている最中だという。
公開されている車両はすべてプロトタイプだが、量産モデルもほとんど変わらないデザイン、性能で販売されるそう。なお、日本での販売については、現段階で公表されていない。
文・編集=iconic 写真=INEOS、INEOS Automobili