かくしてサイズ感が絶妙なところに、「トラベルアシスト」が、最新世代へアップデートされた。これはステアリングホイール上のボタンひとつで起動できる運転支援機能システムで、高速道路などで車線維持を含め0~210㎞/hの速度域で作動するレベル2。従来はドライバーがステアリングを握っているかどうか、操舵角をモーターのトルクで検知していたが、新型ではタッチセンサーで認識する方式に改められ、手を軽く添えるだけでOKとなった。つまり具体的に、長距離移動での疲労軽減に効いてくるのだ。
他にも、インフォテインメントの最新鋭化が図られ、VWが全車種で進めるeSIMの通信モジュールを内蔵するため、We ConnectやWe Connect Plusといった接続環境が前提のオンラインサービスがデフォルトで使える。裏を返せば、スマートフォンの通信容量をクルマが無駄食いしない。しかも専用アプリを介して、スマートフォン上で車両情報を確認できたりドアのロック/アンロックが行えるなど、使い勝手やデジタル・エクスぺリエンス面は格段に進歩している。
その一方で車内のダッシュボード中央、3ゾーンのエアコンパネルは、これまでの3連ダイヤルのような押せばストロークするボタンではなく、操作系統が上下3列に配されタッチパネル&スライダーに替えられた。とはいえ、ゴルフ8の横1列のスライダー式より、ティグアンのそれははるかに扱いやすく、アナログ世代も面食らうほどではない。
もうひとつ、ティグアンの車内空間が充実していると感じさせるのは、ファースト・エディションとR-ライン専用オプションではあるが、ハーマン・カードンによる9個のスピーカーとサブウーファーの専用オーディオシステムが、選択肢としてあること。
いわゆる欧州CセグのコンパクトSUVでは、プレミアムにあたるボルボXC40に同じくハーマン・カードン、DS 7クロスバックにフォーカルが用意されている。だが同じVWグループ内のプレミアム・ブランドであるアウディ、つまりQ3に一任せずVWティグアンが音にもこだわっている点は、高く評価されるべきだろう。