コンフォートとスポーツのバランスがいい塩梅
パワートレインは最高出力 306ps、最大トルク400Nm を発揮する2リッター直列 4 気筒ターボエンジンで、8 速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる。ゆっくりした走り出しにもギクシャクすることはなく自然に加速し、スポーティに走りたいときには、ドライブモードに応じて俊敏なシフトアップを披露、またエグゾーストシステムに備わる自動制御のフラップが作動し、切れ味の鋭いスポーティな音色を奏でる。
AMG専用にチューニングされた4MATIC(四輪駆動システム)は、トルクを前後 100:0 から 50:50 までの範囲で状況に応じて連続可変制御するもの。車速や、横方向および前後方向の加速度、各ホイール間の回転速度差、舵角や選択されているギア、アクセル開度などを瞬時に計算してトルク配分を行い、よりシャープなハンドリング性能を実現している。
サスペンション形式は、フロントにはマクファーソンストラット式、リアは、マルチリンク式で、電子制御タイプの「AMG RIDE CONTROL サスペンション」を標準装備する。ドライブモードは、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツプラス」をはじめ、滑りやすい路面向けの「スリッパリー」、ハンドリングや足回りなど個々の設定を任意に選べる「インディビジュアル」がある。
足元にはAMG 5ツインスポークホイールに、235/50R19サイズの「ピレリPゼロ」タイヤが装着されていた。市街地では「コンフォート」を選択するのがいいだろう。スポーツタイヤだけに荒れた路面では少々ロードノイズが聞こえてくるが、アクセル操作に対して自然に反応するエンジンや変速の滑らかさとも相まって、きれいな舗装路ではAMGであることを忘れるくらいの快適性をみせた。
AMGのイメージリーダーである45シリーズとうまく性格分けされており、コンフォート性能とスポーツ性能をいい塩梅でバランスさせている。ちなみに「AMG GLA 45 S 4MATIC+」とAMG 35 4MATICとの外観上の違いは、バッジをのぞけば、アルミホイールデザインの違いとエグゾーストエンドが4本出しになることくらい。
最高出力は421ps、最大トルクは500Nmと、115ps/100Nmの上乗せとなる。それでいて、車両価格は45が900万円、35は707万円とこれまた絶妙な設定となっている。絶対性能を求める向きは45を選べばいいと思うが、しかし、適度な速さやハンドリング性能、快適性、環境性能など総合的に見れば、やはりGLA35のほうがオールラウンドなユーティリティープレイヤーだと思う。
文=藤野太一 写真=岡村昌宏、Daimler AG. 編集=iconic