ランチは、「八坂」のシグネチャーディッシュであるパンケーキから始まる。目の前で焼き上げるジャガイモの生地に白ネギを混ぜ込んだパンケーキの上にいくらと海老をのせ、絶妙な素材と味の組み合わせでシャンパーニュを誘う。続くブイヤベースは、南仏に長くいたシェフならではの一品。こちらも鉄板上で調理し、2種類の魚を焼き、鍋を鉄板にのせてムール貝を蒸し煮に。かたわらでオマールエビと小魚からとったソースを温め、ムール貝のだし、バジルオイルとともに盛りつけ、アイオリを添えた自家製パン・ド・カンパーニュとともに供される。

印象的なのは、フランス料理を思わせる絶妙な火入れと洗練されたソース使い。さらに、地元、京都を中心に、国内外の選りすぐりの食材が楽しめるのも魅力だ。野菜は京丹後「青木農園」の有機野菜やハーブ、ランチに使われるホロホロ鶏は熊本・天草、ムール貝は三陸から取り寄せ、魚介の多くはフレンチの料理人だった和歌山の水産業者が扱う太平洋や瀬戸内海の新鮮なもの。

そして、器の多くに和食器を使っているのもここならでは。フランス料理にインスパイアされた創作鉄板料理に、染付や色絵の美しさ、陶土の風合いが加味され、秋にはシェフが窯元で選んだ信楽の器も登場する。
八坂の塔をはじめとする京都市街の絶景を望みながらの新スタイルの鉄板料理。カウンターと絶景を舞台に繰り広げられる、驚きと喜びに満ちた食体験はまだまだ進化中だ。
鉄板料理レストラン「八坂」のコース料理をチェック(画像4枚)
八坂
住所:京都市東山区高台寺桝屋町360パーク ハイアット 京都4階
TEL:075–531–1234
料金:ランチ7700円、9900円、ディナー2万4200円、2万8600円、3万3000円、アラカルト1960円〜(すべて税込、サービス料別)
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取材・文=西村晶子