モーターの滑らかさと併せて走行性能が向上
スポーティなハンドリングについては、先に紹介したS-AWCコンセプトをもとに、前後のモーターを制御しつつ4WDたる安定感を作り出し、左右の駆動・制動力をコントロールすることでナチュラルなハンドリングを実現。今回は緩やかなコーナーが続くワインディングを走ったが、余計な動きを見せることなく、ステアリングを切ったままにクルマがテンポ良くついてくるリズム感などは、まさに気持ちよさの極致。それでいながら安定感がすこぶる高いから不思議でもあった。高速走行では、直進安定性がすこぶる高くなっており、風といった外乱の影響もなく、とにかくクルマが真っすぐに走って行く。もちろん、乗員に対して安心感を与え続けたままに。
ただ、路面がダンプカーの重量で変化してしまっているようなシーンでは、サスペンションストローク不足から、コトコトとした硬さが顔を出す。これはリアシートに座っていると顕著に感じるものだが、このプラットフォームの限界といったところであり、春のデビューが予告されていた新型アウトランダーではかなり改善されていると思われる。
厳しい捉え方をしたが、サスペンションは取り付け部の補強、また、ダンパー径をアップさせたことで、その動きは自在に、しなやかになっており、タイヤがしっかりと路面をトレースしているフィーリングが伝わってくる。それはモーター駆動がもたらす滑らかさとリンクしており、相乗的に心地よさを導いてくれていたともいえるものだ。
価格帯は384万8900円から447万7000円と、かつてのディーゼルモデルよりも高くはなるが、ほかの国産ブランドのハイブリッドモデルよりも安い価格帯となっている。もちろん、エコカー減税や重量税免除も含めるとリーズナブル感はさらに増す。
三菱エクリプスクロスのディテールを見る(画像5枚)
そうそう、PHEVといえば、もはや当たり前だったので紹介するのを忘れていたが、EV充電用コンセント経由での普通充電、商業施設などの充電設備を利用しての急速充電も可能(もちろん、エンジンでの充電も)。そして、その電力は家庭用100V AC電源としての活用もできるし、クルマと住まいをつないで相互電力供給できるV2Hにも対応している。
クルマとしての走りだけではなく、フィールドで、または災害時に活躍できることも、エクリプスクロスPHEVのアドバンテージであり、そう捉えると、この価格帯はそれほど高くないのではないか、とすら思えてくる。
専用設計されたというプレミアムサウンドシステムはイマドキサウンド向き。クラシックサウンドに耳慣れている自分としてはなくてもいいかなと思ったことを付け加えておきたい。
文/吉田直志 写真/柳田由人 編集/iconic