高い走破性とボルボの世界観をしっかりと融合

八甲田山系に近づいてくると、次第に雪深くなってきた。圧雪路には時おり磨き込まれたアイスバーン路面も顔を出すが、瞬時に車両が制御を行い、スライドするのを抑えてくれる。モーターによってより速く正確なトルク配分を実現しているわけだ。

酸ヶ湯でひと風呂浴びて、山道をくだる際には、シフトセレクターを「B」に入れておく。このレンジだと積極的に回生を行い充電してくれるのだ。雪深いエリアでは、「コンスタントAWD」モードに入れておけば力強くトラクションがかかる。雪と氷に覆われた十和田湖を経由して、東へ八戸市へと向かった。
その道中は市街地でEV走行することを念頭に、チャージモードに設定する。これはエンジンの出力で走行すると同時に充電も行うモードで、約80%までバッテリーを回復させることができる。ストップ&ゴーの多い市街地に入るとゴールの八戸駅まではEVモードで走りきった。
大雪での立ち往生などが相次ぐなか、積雪地域で電気自動車を使うことに不安を抱いている人は多いだろう。そうした中でこのボルボのT8 AWDというパワートレインは、内燃エンジンと電動モーターのいいところをうまくミックスした、現時点での最適解のひとつといえるかもしれない。

よくよく考えれば、ボルボの故郷は日本よりも北極に近いスウェーデン。雪道を得意とするのは、至極当然のことなのだ。
文/藤野太一 写真/河野敦樹 編集/iconic