キングセイコーの終焉
1971年、機械式キングセイコーの最後の機種となる「スペシャルクロノメーター(52KS)」が登場。自動巻き、ハイビート、クロノメーターのキャリバー52系を搭載し、文字盤に“スペシャル”の表記を擁したこのモデルは、56KSの上位機種の位置付けであったが、75年には生産終了となる。
同じく68年から続いてきた56KSも75年に廃盤となり(45KSは71年にすでに終了)、以降、セイコーのカタログからキングセイコーの名は姿を消してしまう。
この大きな要因となったのがクォーツ時計の登場である。セイコーが1969年に世界で初めて腕時計化に成功し、より高精度で価格も手頃なクォーツ時計が世界中の時計市場を席巻。この“クォーツショック”により、それまで機械式時計を手がけていた各時計メーカーは大幅な路線変更を余儀なくされたわけだが、皮肉なことに同社の銘柄であるキングセイコーもまた、10余年の歴史に幕を下ろすこととなってしまった。
このように、諏訪精工舎と第二精工舎、兄弟企業どうしのよきライバル関係のなかで1961年に生まれ、同じ高級時計でありながら、お互いを意識しながら独自の進化を遂げてきたキングセイコー。2000年に数量限定で一時復活はしたものの、長くレギュラーラインナップが途絶えていたこともあり、グランドセイコーほどの知名度はない。だが、その存在は日本の時計史にしっかりと刻み込まれ、“王”の風格とともに今も時計ファンを魅了し続けているのだ。
そして、誕生から60周年を迎えた2021年、再びキングセイコーが限定で復活することに。その詳細については次回の記事でじっくりご紹介したい。
文/岡崎隆奈






