BMWらしいFRのドライバビリティはないけれど
1.5リッターの3気筒と聞くとちゃんと走るのか不安に思われるかもしれないが、最新のモジュールタイプエンジンは効率的なターボ過給によって最高出力140ps、最大トルク220Nmを発揮し、想像していた以上に力強く走る。トランスミッションは7速DCTだが、変速ショックもほとんど感じることなくスムースにシフトアップしていく。
FFモデルだけに、さすがにBMWがFRモデルでこだわってきた前後重量配分50:50というわけにはいかないが、前輪駆動車にありがちなコーナリング時に車両が外側に膨らんでしまうアンダーステアなどはしっかりと抑制されており、気持ちよくコーナリングできる。車両重量は218d比で約90kgも軽いこともあってことのほか軽快だ。
また衝突回避・被害軽減ブレーキ等をはじめとする運転支援システム「ドライビング・アシスト」を標準装備する。ただし前走車を追従してくれるACCはオプション装備となっており、高速道路をよく走る人はできればつけておきたい。
BMW 2シリーズ グランクーペのディテールをチェック(画像3枚)
ドライバビリティという観点でいえば、従来のFRの乗り味を好む人にはやはり3シリーズをおすすめするが、実は乗り心地やコンパクトなサイズによる使い勝手のよさという点では引けを取らない。都市部で使う実用車としてはちょうどいい選択だと思う。ちなみに年末恒例の賞典レースでは、RJCインポートカーオブザイヤーを受賞、さらに日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、10ベストカーに選出されたというから、その道の人たちも認める完成度の高さということのようだ。
文/藤野太一 写真/茂呂幸正 編集/iconic