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加藤 ちなみに今日の対談場所でもある「メルセデス ミー」も、あえて車を売らずに試乗だけを受け付ける未来の顧客のタッチポイントとして、むしろレストランやカフェを前面に出した画期的な場所ですが、そもそも上野さんのアイデアから始まったと聞きました。

上野 遡ると30年くらい前になるんですけど、3代前の社長のビジョンが大きくて「いろいろなアイデアを出してこい」という人だったんです。僕はドイツから戻った頃で新事業推進もやることになって、それこそ当時から車のサブスクリプションとか、グッズ販売とか、アンテナショップを作るとかいうアイデアを持っていた。その中の一つに「車を売るだけじゃない、人が気軽に入れる場所を作りたい」というのがありました。ただ、当然ながら「そんな場所を作ってどうするんだ」「誰がお金を出すんだ」という議論があって、ずっとお蔵入り(苦笑)。その後、自分が副社長になったとき、1代前のイギリス人社長にアイデアを話す機会があって、やっと「トライしてみようよ」となった。でも、メルセデス・ベンツのカフェというとどうしても敷居が高いイメージがあるみたいなので、2階にある「アップステアーズ」というレストランでもお洒落なフランス料理とかにはダメ出しをしまくって(笑)、毎日でも行きたくなるようなメニューを提供していますよ。

加藤 確かに私も「メルセデス ミー」ができたとき、同僚に「知ってる?」と聞かれたことがあるんですけど、「コーヒーとかも絶対に高いよ」「車を売らないなんて嘘だよ」とか言っちゃいました(笑)。ちなみに「メルセデス ミー」をはじめとして、こうした画期的なアイデアを打ち出すことも含めて、上野さんがビジネスをする上で大切にしていることがあれば、教えてください。

上野 同僚たちは大体3~3年ごとに他の国に移らされて、僕も「海外に行け」と度々言われてきましたが、雇われのローカルのサラリーマンとして、日本のメルセデス・ベンツを盛り上げてきて、やっぱり徹底的にこのマーケットでやることが会社のためになると思ったんです。そういう意味で当たり前ですけど、大切にしているのは「結果」なんでしょうね。社員にも「楽しむのはいいけど、結果が残らないとお遊びになっちゃうから、そこはしっかりね」と言っています。

加藤 上野さんは結果を残せなかったことは一度も?

上野 2017年にオンラインセールスを導入したんですけど、なかなか売れなくて(苦笑)。理由を調べたら、日本では自動車の購入手続きが複雑で、多くの書類に記入して提出先も複数あるのですが、その作業をオンラインではセールスマンでなくお客様自身でやっていただかなくてはならない。そこは制度上必要なので、会社だけの力ではどうにもできない話なんですけど、デジタルを強化することで、お客様にかかる手間を少しでも減らすようにするのはもちろん、コスト効率を高めて、より利益を出すためにもなんとか実現させたいと思っています。各社、こうしたオンラインを積極的にやっているので、日本もそこを真剣に考える時期に来ていると思いますね。

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