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激しさよりも、ゆとりがもたらすジェントルな走り

BMW 4シリーズ
シーンに応じた走りを提供してくれるアダプティブMサスペンションのほか、Mスポーツ・ディファレンシャルを採用。スポーティな走りに対応する。

今回、試乗したのは、BMW M社が開発を行ったMパフォーマンスモデルであるM440i xDRIVEだ。Mモデルには2つあり、このMパフォーマンスモデルはサーキットで培われた技術を採り入れ、走行性能を向上させたモデルに位置づけられるのに対し、もうひとつはサーキットでの走行を可能としたフルコンプリートモデルとなるMハイ・パフォーマンスモデル(M3、M4ほか)となっている。

BMW 4シリーズのシート
レザーのスポーツシートを採用。操舵量に合わせてステアリング・ギア・レシオを変化させ、ステアリング操作に対する前輪の切角を最適化させるバリアブル・スポーツ・ステアリングも装着された。

3リッター直6ターボは、スペックこそ最高出力387ps、最大トルク500Nmを誇るが、実際においては激しさよりも、ゆとりがもたらすジェントルなしつらえに感激を覚える。ワインディングでは、コーナーに入る手前で減速を行いつつ、ステアリングを切って行くとスッとノーズがインを向き、そのままステアリングを切り足していってもクルマからはまだまだ大丈夫とばかりのスタビリティを感じさせ、ドライバーからの指示に対して素直さを失わぬままに駆け抜ける。

ドライビングパフォーマンスコントロールをスポーツに切り替えれば、ダイレクトな加速感、切れ味のよいハンドリングからサーキット走行への誘いを感じるが、それ以外のモードではスポーティさをベースにしながら、心地よさに通じる特別感があり、4シリーズの真骨頂はそのバランスにあることを強く感じた。

また xDRIVEと呼ばれる4WDシステムによって、ハンドリングと走行安定性のバランスを大きく引き上げており、安心感も伴った気持ちの良い走りを作り上げていることに魅力を感じた。

BMW 4シリーズ
ホイールベースは3シリーズと共通となるが、全長+50mm、全幅+25mmとすることでスポーツクーペらしいフォルムのデザインと、ワイドトレッド化を果たした。安定感に基づいたスポーティな走りを手に入れていることもポイント。

乗り心地も上等で上品だ。オプションの19インチホイールを装着していたが、そのサイズがもたらす剛性によってダイレクト感をアピールしつつ、しなやかに動くサスペンションによって快適さをしっかり備え、まさにハイバランスを達成している。タイヤを路面にしっかりと接地させ、美しくトレースする。それゆえに、乗り心地もいいし、ハンドリングもいい、そんなバランスの良さとも言える。

BMW 4シリーズ
M440iのボディサイズは全長4775×全幅1850×全高1395mm。価格は420iが577万〜632万円、M440iが1025万円となる。

試乗中に広々とした駐車場の真ん中に停めて、少し離れたところからぐるっと眺めてみた。単純にクーペであるというよりも、あの走りにリンクさせたデザイン性にハッとした。そう、デザインまでもバランスさせている。そして、BMWらしい走りだけではなく、BMWが求めている美しいデザインを具現化したモデルとして、アイコンたる存在になる、そんな期待をも感じさせた。

ただし、価格は1000万円オーバー。完成度の高さ、つまり、4シリーズが求めた全てを表現していることを考えると、そのプライスは高くはないのかもしれない。

文/吉田直志 写真/ビー・エム・ダブリュー 編集/iconic

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