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「学生時代は50種類ものバイトをして30日かけて車で日本一周もしたんですよ(笑)」
(野本さん)

加藤 会社の意向で希望する部署で仕事ができていない読者に、何かアドバイスはありますか?

野本 私が出向した当時は課長クラスだと片道切符が前提で、本社に戻るのはほとんど皆無でした。しかし、折角与えられたチャンスと思い、出向先で手放したくないと言っていただけるよう、「何事も経験」と思ってやってきました。経営者になって、社員によく「3つは深掘りした経験を積め」と話します。上司になって難しい話が来たときに経験が浅いと正しい判断ができません。部下も経験が乏しい場合には、判断を間違う可能性さえありますから。

加藤 3年後に本社に戻られた後は、晴れて出世コースに?

野本 いやいや、戻ってからは新しい部署であるメディア事業を担当しましたが、当時(平成3年)はまだまだパソコンも普及しておらず、メディアで世の中が大きく変わることを伝えても、なかなか理解してもらえなかったですね。メディアの進化とともに色々な事業を手掛け、平成16年から3年半ケーブルテレビの社長を経験しました。その後、また本社に戻って街づくりをやることになりましたが、メディアの活用は絶対に必要な視点でした。特に建築や土木部門はITなどの導入が最も遅れている分野とも感じていたので、街づくりにも、この経験を活かすことが 出来ましたね。

加藤 お話を聞いていると、どの部署でも腐らずに徹底して勉強することで、東急では前例のないキャリアを切り拓いてきた印象を受けます。そんな野本さんとしてはコロナ以降の働き方はどう変化するとお考えですか?

野本 リモートワークが定着してくるでしょうが、リモート会議などで様々な意見を聞こうとすると、皆が後に待っているから、それぞれの発言が簡単になってくるんですよね。誰かのアイデアを受けてその場で別の誰かがヒントを付け加えるような「気づきの連鎖」が生まれにくくなっているように思います。今後は、100平方メートル程度のサテライトオフィスなども必要になってくるでしょう。そこには同じ会社の仲間が5〜10人くらいで集まることができて、大型画面で本社ともつながることができるような働き方が支持されるのではないでしょうか。1週間で1〜2日くらいは本社に行って、3〜4日は自宅かサテライトオフィスで働くといったイメージですね。

加藤 最後にこれからどんな街づくりが必要だと思われますか?

野本 渋谷でも二子玉川でも、お子様やお年寄りの行動が守られるようなタウンセキュリティの強化や、駅での乗車も買い物も一枚のカードで全てが決済できる街になるといいと思います。そこに行けば安心・安全があって自由に行動できる、人とともに情報も集まるメディアの仕組みもうまく活用した街をつくりたいですね。また、街づくりを行う我々は特にそうですが、企業とは社会に必要なことを事業化して、それを継続するための付加価値を生み出すことがベースにあるべきだと思います。当社は創立当初から沿線地域を中心に「持続可能な街づくり」に取り組んできましたし、これからも継続していきます。

加藤 いつか東急沿線に引っ越すことがあれば、享受できる楽しみがたくさんありそうです。

野本 今回のコロナ禍における対策でも、当社は介護や学童保育事業に携わる全従業員のPCR検査を東急病院で実施しています。安心・安全に行動できる世の中になることを目指して、できることから取り組んでいます。非常時こそ国や地方自治体に任せきるのではなく、社員やその家族、お客様に対して安心感を持っていただけるよう、各企業も当事者意識を持って取り組むことで、経済の再生を一緒に実現していく姿勢が大事だと思っています。

カトMEMO

  • 会社からお金をもらいながら、勉強できるという意識。
  • 自分が置かれた環境をうけいれて、そこで努力し続けることが重要。
  • 物事をプラスに捉えていく思考を持つ。
  • 一つのことを深く掘り下げることでおのずと知識の幅が広がっていく。
  • どんな経験も無駄にはしない。

※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年11月号の記事を再構成]
撮影/前 康輔 スタイリング/後藤仁子 ヘアメイク/森ユキヲ 文/岡田有加(81)

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