「道案内するときはヤード数で答える ゴルファーあるあるです」(丸山さん)
山本 走らなくていい競技だからか、高校から始める子の中には元文化部の子も多いです。でも頭二つ三つ抜け出るには、ランニングなどトレーニングの積み重ねは必要不可欠。僕は学生時代から、通学中も電車の吊り革でトレーニングをしていたので、山本の触る吊り革だけ伸びているぞ、なんてからかわれたりもしました。弓を射るための指を鍛えていたんです。
丸山 先程おっしゃったインドの遠征中は、どんな異文化に遭遇されたんですか?
山本 当時インドのカルカッタで、僧侶が泊まるような宿だったんですが、カレーのごはんにハエが炊き込まれていたんです。それも大量の。
丸山 想像しただけで史上最悪です!
山本 ルーのほうは黄色いから、もはや混ざっているのかすらわからない。参ったなあと思ったけれど、お腹が空いていたので腹を括って、よけながら食べました。同行した女子選手はゲンナリしていましたね。
丸山 オーマイガー(苦笑)。
山本 そこでは飲み水も、田んぼからすくったように濁っていて。
丸山 間違いなくお腹を下しますよ。
山本 先輩が「俺は今日、この水を5ミリ飲む。腹が持ち堪えたら明日は1センチ。それを繰り返すぞ」と。
丸山 水を飲むのも命がけですね。
山本 僕は仕方なく、普段飲まないコーラを買って飲みました。ふと窓の外を見ると、宿の残飯をつつくカラスが見えたんです。すると犬がやってきて、カラスを蹴散らして食べ始めた。次はどこからともなくやってきた牛。最後は貧しい子どもたちが牛をよけて残飯を食べ始めたんです。あれは衝撃でしたね。日本の豊かさが身にしみました。
丸山 究極のヒエラルキーを目の当たりにしたんですね。
山本 ヨーロッパといえばフランス遠征も思い出深いですね。食事で同席したイタリア人選手が、フランスのワインを前にして言うんです。「美味しくないから飲まないほうがいいぞ」と。反対にイタリア遠征時の食事でフランス人選手と同席したときは、彼らはイタリアのワインに全く手をつけない。あきれた僕は他のテーブルに移動して、美味しいワインを頂戴しました(笑)。
丸山 お酒好きの先生らしいエピソードですね。