「これからどう生きるか」
私たちの暮らしを考え直す “ゼロ・ウェイスト”の町
徳島市内から、内陸部へ車で約1時間。四国で一番小さい町で最も人口の少ない上勝町は、近代化によるゴミの激増で従来の野焼きが立ちゆかなくなり、過疎で新たな焼却炉を買う余裕がない中、2003年、自治体として日本初の『ゼロ・ウェイスト宣言』 を可決した町だ。
2017年に取材でこの地を訪ねたとき、生ごみはコンポストで堆肥にし、資源ごみは住人自らがごみステーションに持ち寄り45分別することでリサイクル率が約80パーセントを超えるという暮らしに衝撃を受けた。
さらに「町外からも人が通って来るように」との理由で誕生したマイクロ・ブルワリー「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store」はNAP建築設計事務所を率いる中村拓志氏が設計。地域活性を担う誇り高い建築と、仕掛け人らの話にも心打たれるものがあった。
なお、この5月には従来のごみステーションをリニューアルし、同時に視察者が町の取り組みを学べる環境型複合施設「上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY)」も誕生。ウィズ・コロナを受けて都会でも大量消費社会がいよいよ過去のものとなり、グローバリズムからローカリズムへ時代が変換する今、私たちが「これからどう生きるか」をいち早く実践してきた上勝町を、改めて訪れたいと思っている。
編集者・プロデューサー 岡田有加さん
企画編集とプロデュースを主とする81 Inc.代表。『anan』編集部で学び、石川次郎氏に師事。現在は『GINZA SIX magazine』の編集長なども担う。
https://81inc.co.jp
[MENʼS EX 2020年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)