「ポルシェ911」歴代モデルの車両価格の相場とその理由
いわゆる熱狂的なカーマニアではないであろうMEN’S EX ONLINE読者諸兄は、「なるほど。古くさいということは、維持はちょっとめんどくさいかもしれないけど、車両価格はそこそこ安いんだろうな」と思うかもしれません。
残念ながら、答えは真逆です。ポルシェ911というクルマは今、古ければ古いほど高額なのです。
いや「古ければ古いほど高額」というのはやや大げさな表現ですが、しかし事実はそれに近いものがあります。
具体的には、今新車で買えるポルシェ911のなかで一番安いやつは、1398万円の「911カレラ」という素うどん的グレードなのですが、それに対して1970年代の初代911は、モノにもよりますが、普通に1500万円ぐらいはします。なかには2000万円を超える個体もあるぐらいです。
そんな古いクルマになぜ、そんなにも高額なプライスタグが付いているのかといえば、要するに「需要に対して供給が少ないから」です。
絶対的な性能は、もちろん新車の素うどんのほうが、1970年代のやつよりも明確に上です。しかしデザインや乗り味を含めた「テイスト」の話になると、一概には言えなくなってきます。腕時計とかでもそうだと思いますが、「最近のやつよりアンティーク系のほうが断然シブい」と考える人は多いものです。
クルマもそれと同じで、「昔のやつのほうがシブい!」と考える人はたくさんいるのです。しかし古いクルマというのは、当たり前ですが新車として生産されることは二度とないため、全体としての「数」は基本的に減っていくいっぽう。
そしてブツは減っていくいっぽうなのに、「どうしてもアンティーク系の911が欲しい」と考える人の数はあまり減らないため(むしろ世界的なネオクラシック人気上昇のせいで増えています)、どうしたって相場は上がってしまうのです。
ということで、カタチ的には一番シブい初代ポルシェ911はちょっと高額すぎるため、残念ですがあきらめることにしましょう。