北米ジェネレーションYがターゲット
そもそもFJクルーザーは北米のジェネレーションY(1980〜1990年代に生まれた世代)にターゲットを絞ったモデルとして誕生した。ミレニアムを迎えるにあたって、トヨタはフルラインナップメーカーとしてグローバルな展開をしていく一方で、北米マーケットにおいても若者をどう引き止めるかが課題となっていた。
若者向けをアピールしたサイオンブランドを立ち上げる(現在はトヨタブランドに統合)など、大胆な戦略を採り始めていたその頃、ジェネレーションY向けのケーススタディ的なモデルとして発表されたのが、2003年北米国際オートショーでデビューを飾ったFJクルーザーのコンセプトカーだった。
1960年代に北米でヒットしたランドクルーザー40系(北米向けはガソリンモデルの“FJ”40系を販売していた)をモダンに蘇らせることをデザインテーマとしながら、ジェネレーションYが所有したくなる魅力、新しさを提案。しかし、あくまでコンセプトだったはずが、発表してみると予想外に市販化要望の声は大きく、とうとう2006年に商品化されることになった。
市販モデルはコンセプトカーそのままに作られたように見えるが、ボディサイズは比率を含めて踏襲されず、まったくの別物となっており、開発は1からスタートしていた。
ベースになったのは、ランドクルーザープラドやハイラックスサーフに用いられていたプラットフォームであり、ラダーフレームとボディを別体とした構造、リアにリジッドサスペンションなど、ヘビーデューティを名乗れるポテンシャルを与えられていた。
ホイールベースは、プラド3ドアモデルとプラド5ドア(サーフ)の中間、ボディサイズは全長4635mm、全幅1905mmとして、それに合わせるかのようにずんぐりむっくりとしたフォルムを採用。同じリアドアを採用するプラドの5ドアモデルより全長も短くなっており、リアシートへの乗降性が心配されたが、サイドドアに観音開きタイプを採用することで対応している。
その商品性や話題性はもちろん、ジープ ラングラーの好敵手となるべくリーズナブルに設定された価格帯も相まって、デビュー直後は当然のごとくヒットとなる。