使用する葡萄は全て国産。山梨県、長野県の契約農家と茨城県の自社農園で育てた葡萄を東京で醸造する正真正銘の日本のワインだ。収穫も現地に赴いて一緒に行うことで、葡萄を育てた農家の方々の思いも大切にしているという。よくワインは生き物だといわれる。ブックロードでも、毎日、発酵中の音に耳を傾け、子供の体温を測るように温度管理をし、日々の香り・味わいの変化を感じとることを大切にしているそうだ。筆者の個人的な感想だが、造り手が慈しみをもって大切に育てたワインは飲むとどこかほっとする、親しみやすさや懐かしさを感じることがある。
現在、ブックロードで造られるワインは12種。注目はアジロン(写真中央ブルーのラベル。2970円)だ。山梨県甲州市勝沼町で栽培されたアジロンは、品種そのものも希少とされる。香りは苺ジャムのような優しい甘さが立ち上り、味わいは軽快で酸もあり、程よくドライ。ブックロードでは肉汁たっぷりのハンバーガーをそのお供におススメしているとのこと。
ブックロードのワインは、完成したワインをスタッフ全員でテイスティングし、ワインのイメージやぴったりの料理をラベルにして表現している点もユニーク。飲みたいワインに合う料理がすぐにイメージできるのは嬉しい点だ。ちなみに、同じ品種の葡萄であっても、出来上がるワインは毎年ちょっと違う。また、料理も素材や調理の仕方は日々進化している。ゆえにワインのラベルも醸造のたびに新しく変えるそうだ。
物語のあるワインには人と人とを繋ぐ力がある。長らくのおこもり生活が続き、家飲みやオンライン飲みも定着しつつある。また、少しずつ家族や友人と集う機会も増えてきた。そんなときに、食卓に美味しいワインがあれば、会話も弾み、いっそう楽しいひと時を演出してくれることだろう。