強い個性の初代がオススメ
というように、走りにおいては欠点が少なかったものの、その分、大型SUVに求めるキャビンスペースに求められるゆとりは不足していた。リアシートの足下に特にそれを感じた。
ただし、それを補うかのように、07年に登場した2世代目モデルでは全長とホイールベースを大きくストレッチして、キャビンスペースを広げ、BMWとして初となるサードシート搭載を可能とし、その後、大型化を果たして、最新モデルではとうとうアメリカンフルサイズに到達してしまい、初代の面影は薄くなってしまった。
こうしてX5を振り返ってみると、やはり強く印象に残っているのは、ここで紹介した初代モデルだ。先に述べたスポーティな走りと、それをイメージさせるスタイリング、不足を感じさせない3リッター直6エンジン、ゆとりがもたらすラグジュアリィを感じさせてくれる2機種のV8(4.4リッター、4.6リッターから後に4.8リッター)など、キャビンに多少のタイトさがあろうともそれを不満とは感じさせないような強い個性が数多くあった。
申し訳ないが、2世代目、3世代目については、セールとしては初代よりも成功しているとはいえ、僕の心には、初代ほど強くは残っていない。ちなみに現在、程度のいい初代モデルをあえて求める人が多いようで、古ければ20年前の車両になるのに、中古車価格でまだまだ値が付いている。
文/吉田直志 編集/iconic