「着こなしの鍵は上質&シンプルを意識すること」
(中村さん)
M.E. 今月は、ミリタリーパンツをテーマにお話を伺いたく思います。アメカジ好きにとってはお馴染みのアイテムですが、もう10年以上ご無沙汰という方も多いのでは。今、改めてお二人が注目する理由はなんでしょうか?
中村 昨年、ワイドシルエットのカーゴパンツに注目が集まったことをご記憶の方もいらっしゃると思いますが、今年はその流れが拡大し、より多彩なバリエーションが各ブランドから提案されています。それによって、より幅広い方々にミリタリーパンツを取り入れていただきやすくなりました。これが今、注目したい理由ですね。
西口 今回ピックアップしたアイテムのように、ベイカーパンツやブラックのカーゴパンツといったものも登場しています。シルエットもワイドだけではなく、程よく細身のテーパードも打ち出されていて、ワイドが苦手な方にも穿いていただきやすくなりました。
M.E. なるほど。ベイカーパンツというのも今見ると新鮮ですね。
中村 そうですね。実は1980年代、ベイカーパンツはカーゴパンツと並んでビームス・スタイルに欠かせないアイテムでした。当時は„アーミーパンツ“と呼ばれていて、皆、ブレザーやガンクラブチェックのジャケットを合わせて穿いていたものです。最近のミックススタイルとも共通するものがありますね。’90年代後半からイタリアンクラシックが台頭するとドレスの分野ではあまり穿かれなくなりましたが、昨今久々に復権というわけです。
M.E. そんな時代もあったんですね。ちなみに西口さんはアメカジやヴィンテージ好きでもいらっしゃいますが、昔からミリタリーパンツもよくお穿きになっておられましたか?
西口 もちろん、私にとってベーシックアイテムのひとつです。思い返せば、中学生のときから軍の放出品を買いあさっていましたね。米軍ものも穿いていましたが、当時はヨーロッパのミリタリーパンツをよく買っていました。ユーロミリタリーというイメージがなんとなく洒落て聞こえたものです。
「今季バリエが広がり、より選びやすくなっています」
(西口さん)
M.E. 今でもリアルな軍モノを穿くことはありますか?
西口 ありますね。かなりダボっとしていますが、シルエットを直したりせずそのまま穿いています。古着の場合 は神経質になりすぎず、オリジナルを尊重するのが格好いいと思いますね。
中村 ファッショニスタの西口はそれでサマになりますが(笑)、やはりリアル軍モノは人を選びます。その点、今出ている本格パンツブランドのものは雰囲気こそ武骨でもシルエットはしっかり計算されていますから、ミリタリーパンツを穿き慣れていない方でもトライしていただきやすいんですよ。
M.E. 仕立てもしっかりしていて上質感も高いですから、大人の上品な服に合わせやすそうですね。ところで、着こなしがラギッドになりすぎないかと心配する方も多そうですが、コーディネートのコツはありますか?
中村 アドバイスとしては、アメカジ臭くなりすぎないよう、上質感を大切にすることですね。例えばTシャツではなく丸首のサマーニットを合わせるなど、素材で上質さを表現するのもいいと思います。あとは、コッテリ見えないようシンプルにまとめること。ジャケットを合わせる場合は、極力軽い仕立てのものがよいでしょう。
西口 スニーカーでなく革靴を合わせるだけでも大人な印象になりますよ。中村 それも効果的。上質さと“盛りすぎ”を避けるよう意識すれば、大人ならではの装いを築けますよ。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年6・7月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
関連記事一覧: 「大人の休日カーゴパンツ10選」シルエットを穿き比べ!