悪天候の箱根で試乗
試乗時の箱根は思い切り雨に見舞われたが、駆動の感触や路面とのコンタクトの確かさ、外の荒れっぷりと車内の平穏ぶりとのコントラストが印象に残った。これで最大7人乗れるとなれば、安心感というファミリーカーとしての資質にも文句のつけようがない。
欠点を挙げるとすれば、ガタイが大きいのは確かだ。5mまであと5cmの全長と、2mまであと4cmの車幅、1.8mまであと4cmという車高は、駐車場を選ぶことは確かだ。だがよく出来たクルマの常で、走り出すと向こうから手の内に収まってくるような、ドライバビリティのよさ、車両感覚を含め操り易さがある。

マイナーチェンジを経たXC90のよさとは、いわば赤身の高級牛肉のようなものだ。絶対値的なスペックとか光りモノ加飾といった、分かりやすい部分で脂っこいサシこそ入ってはいない。ところが噛んでみなければ分からない、濃密な旨味がたっぷり詰まっている。アドレナリンではなく、ドーパミンで満足感を与えるタイプなのだ。
実際、「所有すること自体が人生の目的たりうる車ではない」と、先に書いたが、ボルボは昔のモデルを整備レストアする「クラシック・サービス」を日本でも展開するほど、息の長いクルマ造りをしているブランドでもある。つまりきっかけと過ごし方次第では離れられなくなる、そんな禁断の一台となりうる北欧の誘惑、それがボルボなのだ。
文/南陽一浩 写真/柳田由人 編集/iconic






