D5というディーゼル・パワーユニットにR-デザインの組み合わせは、今回が初登場だが、さらに新しいのは、R-デザインに従来のチャコールだけでなく、白いレザー内装が選べるようになった点だ。そこはさすがボルボで、エレガント仕立ての「インスクリプション」のクリーム色がかった白とはニュアンスの異なる、青味がかったグレージュっぽい白を、Rデザインというスポ―ティ・トリムには用意してきた。スピーカーのカバーやエアコンのベンチレーターがアルミ製であることは両者とも共通だが、前者に組み合わされるのはウッドパネル、後者がカーボンパネルであることを思えば、素材感と色合いのコーディネイトに破綻がなく、各々の世界観に整合性と統一感がある。
ちなみにボルボは「~風加工」の加飾パーツを一切用いず、内装の素材は見た目そのままの質感と触感なので、目と手が騙されるといったことがない。今や内装の組みつけ精度による質感は限りなく横並びなので、差がつくのはフェイクではない素材感なのだ。
前期型オーナーの乗り替え動機になり得るほどの乗り味
大ぶりだが包まれ感のある、それでいて適度な固さをも感じさせるシートに身を沈め、ゆっくりと走り出す。これまで日本市場でボルボのディーゼルといえばD4がメインで、D5は昨年末からXC90にのみ追加された。
ボルボのDrive-Eと呼ばれるパワートレイン・シリーズはモジュール化が徹底していて、ガソリンもディーゼルも同じブロックの直4・1968㏄で、ターボやスーパーチャージャーといった過給機のアドオンやチューンで出力や用途を使い分けている。D4とD5の違いは、190ps・400Nmに対し235ps・480Nmと、スペック的にも2割増しほどパワフル。そのカラクリは、両者とも低圧と高圧でシーケンシャルに作動するツインターボなのだが、後者では高圧側担当が可変ジオメトリー式ターボチャージャーにアップグレードされていて、より強大なアウトプットを絞り出す。
とまぁ、以上はアタマで理解した上で乗り込んでいたのに、転がり出しというか出足の軽さとレスポンスよさにまず驚いた。
どうやらこれは「パワーパルス」という新機構の効果。今どきのディーゼルには排ガスを吸気に再循環させるEGRという回路があるのだが、これはEGRからターボチャージャーの初動をアシストする圧をかける機構だ。かくしてターボの過給ラグを打ち消すどころか、トルクのつき方の鋭ささえ、獲得しているのだ。
もうひとつのグッド・サプライズは、22インチホイールに35扁平タイヤという、サイドウォール高の恐ろしく薄いタイヤを履いているというのに、乗り心地がしなやかであること。
ドライブ・モードはデフォルトで「コンフォート」(=ノーマル)に設定されているのだが、初期モデルのXC90は「コンフォート」の表示に見合うほど、柔らかく快適な乗り心地ではなかった。それが、驚異的なほどアタリの優しいライド感に変わっていたのだ。
「ダイナミック」に切り替えると、シフトアップがエンジン回転数をやや上まで引っ張るリズムに変わり、ステアリングの手応えも増し、足回りも一段階ほど締まる。ボディの振れ幅的な横方向の動きは明らかに抑制されるが、それでも乗り心地に硬さを感じることはなかった。






