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宇宙に行った衛星の動きを知ることができるのはなぜ?

イザナギが昨年12月11日18時55分(日本時間)に打ち上がって17分後に高度575kmのところで無事に予定の軌道に投入され、インドでも日本でもわーーっと盛り上がったころ、弊社の衛星運用チームは緊張とともにコントロールセンターで初交信のための準備を粛々と進めていました。

人工衛星は打ち上がってからが本番です。

イザナギがインドから予定通りに軌道に入ったのち、日本上空を初めて通過する時間を計算し、待ち構えていました。 現在私たちが使用している地上のアンテナ局は日本にあるので、衛星が日本上空にいるときに交信できるのですが、宇宙空間に放り出された物体がいつ日本上空に来るかなんて、なぜそんな計算ができるのかと不思議でたまりませんでした。

神業すぎます。。。

少し、初交信から話は脱線しますが、、、
聞けば、この衛星の動きを知るのにドイツのヨハネス・ケプラー(1571年〜1630年)が発見した「ケプラーの法則」なるものを使っているとのこと。とはいえ、ケプラーはニュートンよりも前の時代の人です。万有引力の前に惑星の運行法則を見つけられるなんて、そして、現在、私たちが生きる2020年の世界でもこのケプラーの法則をもとに衛星運用をしているなんて、この世界は本当に奥が深すぎます。

ケプラーのことを話していると、自分の理解も足りなく、どれだけ時間があっても足りないので、先を急ぎます。

衛星は90分で地球を1周。交信できるのは10分だけ!?

さて、私たちの衛星は南北の緯度37度までカバーしている傾斜軌道に入っています。もともと狙っていた軌道に近いそうなのですが、それはこの範囲の中に観測の対象になりやすい大きな都市が入っているのが理由です。

QPS研究所
軌道の位置を描いてみました。狙った軌道に正確に入れられるどうかはロケットの腕の見せ所なんだそうです。


よく観測衛星が入る軌道には「太陽同期軌道」と呼ばれる軌道があります。この軌道では、例えば午前9時に種子島から真南に打ち上げると、毎日同じ時刻に種子島上空を通過するので同じ太陽照射条件で観測ができるんです。

太陽の光が当たっていることが大切な条件になる光学カメラを使っている衛星にはこの軌道が大人気なんだとか。でも、私たちの入っている傾斜軌道は衛星が上空に来る時間が不規則で毎日変わります。(深夜にだってやってくる、従来の衛星には人気がない軌道なんだそうす。)

しかし、そこはSAR(合成開口レーダー)を使っているイザナギの実力の発揮できるところ。昼夜関係なく、(悪天候であっても)データをとれるので、こういう不規則な軌道でも観測上、問題ないんです。

イザナギは秒速約7kmの速さで地球を約90分で1周します。(初めて聞いたときは、え!そんなに速いの?と驚きました。)そして、1日に日本上空に来るのは5~6回で毎回10分くらい交信できます。

はじめはまったくこのイメージが湧かなかったのですが、下記の図を見せてもらって、ようやく、衛星が日本の上にいて交信できるってこういうこと!と理解できました。

これがイザナギの動きです!

QPS研究所
青い線がイザナギの回っている動きを表しています。これは2019年12月5日に打ち上がったと仮定した図です。赤色の線のときにいるのが日本上空にいて交信できるときです。

日本の周りに楕円がありますが、この位置に衛星が入ってくるときに衛星と交信ができるんです。(地上からは衛星が水平線から現れて、また水平線に沈んでいく間。地上のアンテナの位置から衛星が見えている間、ですね。)

日本以外にある地上のアンテナを使っていれば、そのアンテナの上空にきたときにも交信できます。アンテナがどこにあるかによるんですね。そして、地球は自転もしているので、毎回毎回ずれて上空にやってきます。5~6回くらいやってきた後、また日本上空から離れてしまい、次にやってくるまでまた時間があきます。

うわーーーー。
もう一度言いますが、この宇宙の衛星の動きをこうやって正確に把握できるなんて、ケプラーはすごすぎる。

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