加藤 社長が現場に立つ意味はものすごく深いんですね。
臼井 詭弁でも何でもなく、現場にしかない景色はしょっちゅうあります。別に僕がお店に立たなくても数字だけで報告を受ければいいし、そのほうが冷静に判断できる部分もあるんですけど、全ての数字は430円の一杯が積み重なってできていて、その背景には他にもいろいろな真実がある。
加藤 他の上層部の方々も臼井さんに倣ってお店に立つように?
臼井 それが見事にやらない(笑)。「加藤さんもやったほうがいいと言っていた」ってことで、そろそろスイッチを入れようかと(笑)。
加藤 言っちゃってください!
臼井 そうさせてもらいます(笑)。
加藤 それと臼井さんはコメダ珈琲店にやってくるまでに、数々の名だたる企業で具体的にどんな部分をキャリアアップされてきたと感じていますか?
臼井 僕自身はキャリアアップとは全く思ってなくて、むしろ一度きりの人生に対して、やりたいことがたくさんあっただけなんです。加藤さんもありません?
加藤 そこは逆に臼井さんと違うところで、会社を変えて、新しいことを吸収して覚えていくって、ものすごくエネルギーが必要じゃないですか。私はそういうバイタリティを持つのが苦手で。
臼井 でも会社の仕事なんて、所詮そんなに難しいことはないですよ。自分の中から何かを生み出す仕事と違って、普通に大学を出てやる仕事は特別なことをやっているとは思えない。大体、僕が企業を辞める理由は「つまらないな」ってことですから(笑)。