空手 組手・西村 拳選手インタビュー【“闘う男の服”を纏う、2020闘う男】

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東京オリンピック開催まで、いよいよ1年を切った。出場を目指し、凌ぎを削る日々が続くアスリート達。その闘いの人生の中で、どんな矜持を培ったのか。ビジネスマンにとって勝負をかけるときの戦闘服=スーツを纏い、闘いの美学を語ってもらった。

「常に世界が見ている その高い意識が 新しい時代を作る」
 空手 組手 西村 拳 選手

西村拳選手選手

「空手がオリンピックで初めて採用される。それも東京で。この機会を、絶対にモノにしたい」

1982年に世界選手権を制覇した父の影響で、嫌々はじめた空手。今では男子組手75キロ級における東京オリンピック代表最有力候補と目されるまでになった。同大会を千載一遇のチャンスと捉えている西村選手だが、それは自身のためだけではないようだ。

「空手は、世界的に見ればまだマイナーな競技と言わざるを得ません。サッカーや野球のように、子どもたちが習うメジャーな競技になってほしい。空手を世界に広めるためには、東京オリンピックで活躍し盛り上げることが重要です」

普段から空手のイベントに積極的に参加している西村選手だが、より世界に知らしめるためには、強い選手の存在が必要と語る。

「競技である以上、強さは発信力の源。空手にとって東京オリンピックの表彰台に立つことはゴールではなく、スタートなんです」

だが、自分の中における強さの源は違う。強さとは人間力。心の鍛錬こそが、強い自分を育てる。

「選手として、技を磨く、身体を鍛えるのは当たり前のこと。一番大切なのは、礼儀を尊び仁義を尽くすといった心の鍛練です。心技体が一つになってこそ、真に強い空手家となれます。これまで出会った恩師は、皆その大切さを教えてくれた方ばかりです」

そこには、さらに礼節も含まれるという。人は見た目で判断されることをわきまえなければいけないという母の教えを守り、人前に出る時の装いには気を配る。

空手
今年開催された空手の世界大会「プレミアリーグ」の東京大会決勝戦での一枚。空手界随一の実績を誇るアガイエフ選手を下した。


「僕に憧れてくれる子どもたちに、みすぼらしい姿を見せたくない。西村ってカッコイイって、思ってもらいたいですから」

もう少し年齢を重ねたら、ダブルのスーツに袖を通してみたいと語る西村選手。撮影用に用意したスーツを着た瞬間、道着を着た時と同じように背筋を伸ばしていた。

西村選手

西村 拳(にしむら けん)

1995年福岡県生まれ。空手元世界王者を父に持ち、3歳より空手をはじめる。昨年の世界選手権では団体で銅を獲得。組手75キロ級で世界ランク1位。チャンプ所属。


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