
卒業するといよいよ、就職ですね。仕事探しは順調でしたか?
「6ヶ月の授業を終えると、研修許可書をもらえるので、それを持って自分で研修先を探さなくてはいけません。日本と違い、研修をしたい人が自分で会社に問い合わせをして研修先を探すのです。日本人の生徒はたくさんいましたが、彼らが『なんで学校が紹介してくれないの??』『自分じゃ無理』と言っていたのを覚えています。私は6ヶ月の学生期間中、すでに何件もアタックして、研修先は『フランチェスコ スマルト』に決めていました。常々、校長先生が『スマルトこそNO.1テーラーだ。スマルトとランバン以外は行く必要なし』と言うほど、スマルトは他を寄せ付けない圧倒的な技術力をもったテーラーでした」。
「そのときは渡仏当初と違い、語学力がつき、国家資格も取得したこともあって自信満々で研修に向かいました。2ヶ月の研修期間中、型紙は一切見ることも触ることもさせてもらえませんでしたが、縫いの部門でベテラン職人に付き、多くの工程を学ぶことができました。研修期間中、何度も人事部に『雇用してほしい』と掛け合いましたが、やはり労働許可証を持っていない私を雇用することは出来ないと断られてしまいました」。
雇用の壁をなかなか乗り越えられませんね
「校長先生からは『明日、TGVに乗って、ブリュッセルのNO.1テーラーへ行きカッターの研修をしなさい』とか、『明日朝8時半にサントノーレ通りのランバンへ行き、そこで2日間、試験を受けなさい』と言った具合に突然の手助けをいただきました。校長先生には、ものすごくかわいがってもらいました。ランバンでは人事的な都合もあり労働許可証を取得することは出来ないと言われてしまいました。雇用の難しさは日々痛感していました」。
【鈴木さんのコーディネイト提案 傑作選 PART3】(写真3枚)
鈴木さんがinstagramで発信しているコーディネイトの一部をご紹介
「校長先生のご紹介のお陰でブリュッセルのテーラーとパリのグランメゾンから、労働許可書付きで雇用したいとオファーをいただきました。しかも、それは夢にまで見たカッターとして雇用したいとの話でした。カッターの職を見つけること自体、ほぼ不可能に近いと考えていたので、とても迷ったのですが、よくよく考えた末、申し出を辞退しました」。