「やっぱり 女優はよく分からない(笑)」映画監督・是枝裕和さんインタビュー

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初の国際共同制作作品に挑んだ映画監督の是枝裕和さんに話を伺った。

「昨年以降、自分が映画を作る上での世界地図が大きく広がっています」

是枝裕和

是枝裕和 HIROKAZU KOREEDA


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1962年6月6日生まれ。東京都出身。1995年に『幻の光』で監督デビュー。2004年の『誰も知らない』では、主演の柳楽優弥が第57回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。2013年の『そして父になる』は、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ、国内外で多くの賞を受賞する。さらに2018年『万引き家族』で、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、第42回日本アカデミー賞では最優秀賞を最多8部門受賞。国内外で高く評価された。

「改めて感じたのが、”やっぱり女優はよく分からない(笑)”」

2018年、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞し、世界が認める日本を代表する映画監督となった是枝裕和さん。さらなる活躍が期待される中、監督が次作に選んだのは、パリを舞台にした、監督初となる国際共同制作作品。フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴが主演を、ジュリエット・ビノシュが共演を務める、華やかな温もりを感じさせる”家族”の物語、『真実』だ。

「脚本のベースは2003年頃に書いた、ライバルを亡くした老女優の孤独をテーマにした戯曲です。また2011年頃には、ビノシュさんといつか一緒に映画を作ろうとも話をしていました。そして、2015年。飛行機に乗っている時、ふと”あの戯曲を、パリに住む老女優と娘との話に変えたら。それをドヌーヴさん、ビノシュさん、イーサン・ホーク氏に演じてもらえたら”と閃いて今回の企画が動き出しました」

そんな偶然が重なり、年の構想期間を経て生み出されたのが本作。ドヌーヴ演じる大女優と、女優になる夢を諦めてアメリカで脚本家になった娘の、これまでのすれ違いが丁寧に綴られていく。

「”女優ってなんだろう”という疑問は、映画を撮り始めて数年後から感じていました。今回二人の大女優を撮影して感じたのが、”やっぱりよく分からない”です(笑)。 分かってしまったら面白くないから、それでいいんですけど。特にドヌーヴさんは稀有な存在。とてもチャーミングで誰もがファンになってしまう。もちろん僕もすぐに惹きつけられ、見事に振り回されてしまいましたね(笑)」

本作は、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品に選出。これは日本人監督初の快挙だ。是枝監督の世界での活躍の場はどんどん広がっている。

「これまでは海外での活動範囲を欧州中心で考えていましたが、昨年の『万引き家族』以降、一気にアメリカが視野に入り、自分が映画を作る上での世界地図が大きく広がりました。今は中国やアメリカでの撮影も視野に入れて企画を立てています。でも、もうホームドラマは飽きてきたかな(笑)。ちょっと違うことをしたいですね。と言いながらアメリカとかで、また小さなホームドラマを撮っていたりするかもしれませんが(笑)」

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