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パサートオールトラックのタイヤ
試乗車に装着されたスタッドタイヤに関してはミシュランがパートナーを務め、パサート オールトラックにはドライ路面でも走りやすいトレッド剛性感と圧雪路での効率のいいグリップが好評の、「X-ICE 3+」を、ティグアンTDI 4モーションには同「X-ICE3」が装着されていた。

素性の良さが出るのは雪の上だからこそ
VWの4モーションとミシュランで無敵!

実際にパサート オールトラックを、DCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)機能でノーマルを選んで圧雪路を走っている限りでは、ミシュランX-ICE3+の確実な食いつきもあるとはいえ、ほぼオン・ザ・レールといっていい感覚。かくもビタっとした安定感が雪道で味わえるのは、頼もしいと捉えるべきだろう。

多少、コーナリング中に荒く踏んだりしても、やや前輪が空転したかと思えば後輪の方が蹴り出して、ESC介入による姿勢制御も入っているのだろう、舵を乱すことなくスルリと抜けてしまう。ディーゼルならではの大トルクをもてあまさず、圧雪路なら万事この調子で不安なく距離を呑み込んでいくのだ。

ただ人間は困ったもので、ヒーターの効いた室内でヌクヌクと快適なドライブを味わっていると、退屈もしてくる。というわけでVWが得意とするDCCを、折角なので「スポーツ」を選んでみた。

これがすこぶる調子いい。気持ち、引き締められたステアリングフィールを確かめつつ、強めのゲインを入れるような曲がり方をすると、リアがつつっと外側へ、多少のアングルを許容してくれる。ところが後輪への駆動力配分が始まるレスポンス・応答性に優れているため、アクセルオンで今度はリアがピタリと安定して、ほぼまったくカウンターステアを当てることなく前へ前へ、力強く4WDで地面を掻いていく。

足回りについていえば、ロールは少なめだがしなやかで、フロントのワイドさも手伝ってよく曲がる。ボディの余分な動きを抑え込つつも、スポーツでも印象としてはノーマルとさほど変わらない快適さだし、応答性のよさだけが巧みに抽出されているように思える。オーバーステアを推奨・許容するハンドリングではないので、安心して楽しめるし、今世代のハルデックス・カップリングの美点を最大限に引き出しているのは、このスポーツモードの味つけだと思う。

加えて、この気持ちよさを下支えするのが、TDIの400Nmという大トルクだ。

というのも逆説的ながらフロントヘビーなFFベースAWDの利点だろう、意外と圧雪路面でもフロントタイヤがロックするほどの領域、つまりABSが作動するのはミシュランX-ICE3+をもってしても早いので、アンダーステアが出るほどの旋回スピードを保ってコーナーに突っ込むのは、逆に難しい。

あくまでタイヤグリップとシャシーが生み出す元々のスタビリティの範囲内で、400Nmの大トルクのメリットを洗練された駆動システムによって享受できるところが、パサート オールトラックの妙味といえる。安心感をベースにした、理性的なスポーツ性があるのだ。

続いてクローズドのコースにて、1.穴ぼこだらけの不整路面での脱出、2.スラローム、3.ヒルディーセント機能、4.定常円旋回、というプログラムを、ティグアン 4モーションでこなした。結論からいうと、やや不完全燃焼ではあった。

まず4.の定常円旋回だが、コースの片側がアイスバーン気味になってしまい、その箇所を通過するにはどうしてもフロントが外側に流れるため、一定のアクセルワークで回ることが難しかった。

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