VWの4WD+ミシュランという
鉄板ソリューションを試してみる
何でもフォルクスワーゲンが雪上試乗会を開くのは、10年ぶりだったらしい。
雪の路面は滑りやすくコンディションも刻々変化するため、クルマに元々備わる挙動や癖、あるいはパフォーマンスの安定度が強く問われることになる。
そうした機会に、昨夏から投入したTDI、つまりユーロ6.2対応済みのクリーンディーゼルを積んだAWDモデルを試乗に供するのだから、VWの自信めいたもの、例のディーゼルゲート事件の禊ぎから新たな方向へ進もうという、そんな意気込みが看てとれるだろう。
今回はパサート ヴァリアントより50mmほど車高が高く、同じくステーションワゴンながらAWDモデルの「パサート オールトラック」を斑尾周辺の公道で、そして人気が高く競合も多いCセグメントSUVの「ティグアン」をクローズドのコースで乗った。
いずれも2リッター ターボのクリーンディーゼルTDIをフロントに積み、通常は前輪側を駆動しつつも、状況に応じて後輪にも駆動力を最大50%を分配する4モーションを採用する点は同じだが、前者が190ps・400Nmというパワフル仕様、後者は150ps・340Nm。同じ排気量でチューンが異なるだけでなく、AWDシステムの味つけにも明確な違いがあった。
VWの採用する4輪駆動は現在、第5世代に進化したハルデックス・カップリング。昔のそれは、前後車軸で駆動差が生じたら機械的にクラッチを連結させて…というシステムだった。ところが現行世代は、アクセルや車速だけでなくホイールスピードやステアリング舵角前後の位相差などなど、センサーを駆使している。
つまり駆動差が出てから介入するのではなく、前もって駆動差が出る瞬間を予想しつつ、電気的に介入して油圧でクラッチを繋ぐシステムなので、駆動配分が変化する瞬間の、効き始めのラグがほぼ皆無なのだとか。