パリで育まれた独自のトラッドスタイルは着飾ったお洒落さがありつつもどこかさり気ない。日本の落ち着きある美意識にも通じる洗練された装いを学ぼう。
定義があるようでないフレンチアイビーとは
ブレザーを始めとする今のトラッドスタイルの復権は、ファッションにおける大きな潮流の一つ。そんな旬なトラッドをより今流に装う鍵として、実は”フレンチアイビー”が改めて注目され始めている。だがこのフレンチアイビースタイル、着こなしにルールがある本場アメリカのトラッドと異なり、どのようなスタイルを指すのかピンと来ないという方も多いのでは。
フレンチアイビーという言葉が初めて日本で市民権を得たのは1980年代半ば。ファッション雑誌でパリのトラッドな着こなしが特集され、当時の日本のファッション業界に大きな衝撃を与えた。色使い、組み合わせ、アイテム選び、どれもが今まで追いかけたアメトラとは異なっており、その着こなしはまるで、自由を謳歌するパリの薫りを体現したようだった。そしてそれこそがフレンチアイビーの正体。本場アメトラをパリジャンによる独自解釈で自由に着たスタイル。それが日本にてフレンチアイビーと名付けられた。
そんなフレンチアイビーには着こなしの明確なルールこそないが、いくつか象徴的なアイテムが挙げられる。タータンチェックのパンツやシングルモンクのシューズはその代表。これをトラッドの大基本アイテムであるネイビーブレザーに合わせれば、米・英とは一味違う、フレンチならではの小粋さが薫るトラッドスタイルが完成するというわけだ。デイリーに装うならシンプルにタートルニットを合わせるのがオススメだが、よりドレスアップを楽しむシーンでは是非、ボウタイを合わせてみてほしい。紺ブレ×結び下げのタイに漂う一種のカタさが抜けて、フレンチらしい甘さが漂うのを感じるはずだ。さらにこだわるなら、パリの名門・シャルベのシルクボウタイを選べばパーフェクトだろう。