口には出さないけれど、心の中では敬服…優れた職人どうしには、そんな密かなシンパシーがある。それは作るモノが違ってもしかり。2018年の終わり、照れる彼らに”ここには惚れた”を告白してもらった。
中川一康(シューリペア職人/ユニオンワークス)
loves 中寺広吉(バタク)
「中寺さんの感性、美意識、技術には全幅の信頼を置いています」(中川さん)
靴好きなら知らない人はいない、シューリペアの第一人者・中川氏。スリムな長身にビシッとスーツをまとった姿は雑誌などでお馴染みだ。氏のファンなら、そのスーツがバタクで誂えたものであることもご存じだろう。「もう20年ほど、スーツはバタク一筋です。オーナーでモデリストの中寺さんには全幅の信頼を置いていて、生地とスタイル以外はほぼお任せ。もちろん仕上がりは大満足です。スーツ自体が主張せず、最高の”額縁”となって私を引き立ててくれるのです。そして何といっても、中寺さんご自身が大変魅力的。彼の完璧な出で立ちにはいつも憧れています」(中川さん)
「端正な佇まいと、動いたときの美しさ、それを大事に作っています」(中寺さん)
「着た人が動いているときにこそ美しいスーツを目指しています。仕立ての基本は胸周りにゆとりを持たせ、腰から下を体に沿わせたドレープスーツ。また、見た目は端正でもソフトテーラリングを基本としています。実際着ていただければ、とても柔らかな着心地を感じていただけますよ」(中寺さん)