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「スパイでも何でも”余裕”のある男がカッコいい」

衣装を前にするやいなや、「コートの前は全部留めたほうがカッコいいよね?」、「帽子はこのくらいの角度かな?」と自ら試行錯誤しながら、撮影のお題である「スパイ」という役へ入り込んでいった遠藤さん。そして撮影時におもむろに立ち上がり、用意したものとは別の椅子を並べ、そこに足を乗せてポーズを取る。とにかくアイデアが尽きない、卓越した直感をもつ人なのだ。そうして完成したスパイは、端正でいながらどこか肩の力が抜けた、大人の”余裕”を感じさせる人物となった。遠藤さんはいう。「どんな役でもそうですが、カッコつけるときは少し余裕をかましているほうが、”美学”が感じられてイイと思うんです」。

この美学は自身が主演を務める映画『アウト&アウト』でも発揮されている。遠藤さんが演じるのは、元ヤクザの探偵矢能。相手を淡々と追い詰める、ノータイの黒スーツ姿が似合う無頼漢だ。「命を狙われるような場面でも、何の動揺もしてないかのように余裕をかまして振る舞うのが、この男の生き方。執念深いけど、相棒の小さな女の子に対しては、不器用な優しさを見せる。そのアンバランスさを楽しみました」。

映画はハードボイルドな世界観に満ち、張り詰めたシーンが連続する。一方、小学生にして母親のように矢能を諭す女の子と矢能の関係には、思わず頬が緩む。「撮影中は、これだけ削ぎ落とした演技で観客を引っ張っていけるか不安でしたが、試写を観ると力のある映画になっていた。監督へは思わずグッド!と伝えましたね」。

探偵に刑事に総理、そして今日はスパイと、スーツを着る役柄を多彩に演じてきた遠藤さん。今後演じたい役をM.E.らしくスーツに限定して聞いてみると、ユニークな答えが。「職業はさておき、バシッと決まったカッコいいスーツをボロボロになるまで着倒す、登場と終わりとでまるで別モノになっている役なんて面白いんじゃないかな。ほら、ボロボロに朽ちていく美学というのもあるじゃない?」。

PROFILE

遠藤憲一

えんどう・けんいち

1961年生まれ。NHK『壬生の恋歌』(’83年)でデビュー。コワモテから総理まで多くの役柄を好演。主演映画『アウト&アウト』が11月16日(金)、TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー。



コート62万円、スーツ27万円、シャツ8万5000円、タイ2万8000円、グローブ7万2000円/ジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニジャパン) ハット15万円/ボルサリーノ(ボルサリーノ ジャパン)

※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2018年11月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)


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