用途に応じた実用的アウターも面白い
■CAMPLIN
「カンプリン」は、もともと英国のPコートの起源としても知られるコート。 もともと1850年代に、英国のカンプリン家は、英国海軍のユニフォームのサプライヤーとして有名で、Mr.カンプリンが海軍用のコートを発案したのが、いまのPコートの起源とも言われている。ちなみに、フロントボタンにぶら下がっている短いロープのようなコードは何か? ……これにはちゃんと意味がある。海軍の人たちが甲板で作業をする際、防寒で中にニットを着こむため着膨れして前ボタンが止まらなくなっても、このロープを引っ掛けておけばフロントが開かずに風が入ってこないという、実用性が考慮されているそうだ。こうした歴史あるコートのディテールも、なかなか興味深い。
■LODENTAL
こちらは、オーストリアの伝統的な狩猟用外套である「ローデンコート」をモチーフにしたイタリアブランド「ローデンタル」。ローデンコートはもともとは狩猟用外套であったたため、ウールを縮絨させ、防水性や防寒性を高めたローデンクロスが使われている。 肩が動きやすいようにフローティングショルダーになっていたり、動きやすいよう背面には大きなプリーツが入っているのも特徴。ローデンタルのコートは、伝統的な意匠は踏襲しながらも、表地と裏地の色使いにコントラストをつけることで、襟を立てたときの襟裏や脱いだときの華やかさ、モダンさを加えているのが面白い。
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撮影・文/平澤香苗(MEN’S EX ONLINE)