ドルチェ&ガッバーナのアートピース【時計王・松山 猛のBASEL2018】

NULL
Facebook
Twitter
友だち追加
バーゼル


バーゼル取材 DAY4

会場を離れて、旧市街の老舗ホテルへ

バーゼル旧市街の入口、ライン川沿いにある三人の王様”トロワ・ロア・ホテル”は、その礎石が1026年というから、もうすぐ1000年となる古い歴史を持つ。
その歴史的なホテルの一画で、ドルチェ&ガッバーナの時計と宝飾品のショウが開かれているのを見に出かけた。今このブランドの時計部門を取り仕切っているのは、以前オメガやジラール・ペルゴで仕事をしていた、ミケーレ・ソフィスティ氏で、僕とも旧知の仲。

毎年とても凝りに凝った限定品のスペシャルモデルを作るので、注目しているブランドなのだが、今年の作品はまた一段と素晴らしいもので、イタリア伝統の金工の様々な技術で作られたものや、文字盤にミクロ・モザイクをほどこしたものなど、多彩な工芸技法を駆使したそれら一点ものの時計は、まさに時間を計ることができるアートピースというべき代物なのであった。

ドルチェ&ガッバーナのアートピース(写真3枚)



なかでも驚いたのは針山を象ったもので、豪華な宝石を纏った待ち針が何本も刺さった針山を、スライドさせると時計部分が現れるというもの。一点もののいくつかはミニッツ・リピーターを備えたムーブメントを持ち、時計装置としても完成度の高いものとなっていた。
もはや時計の範疇を超えたオブジェではあるが、どのような人たちが、このようなすごい時計を手にするのだろう。そんな恵まれた人が世の中にいるのも事実。
ここまで来ると、社会の格差を云々するよりも、この時代にも世界のどこかで、これほどまでの素晴らしいアートが作られていることが、喜ばしい気分になってくるのだ。なぜならそれはまだ世界は少なくとも平和で、安定した社会があるというシンボルだからである。

ドルチェ&ガッバーナ DG7(写真2枚)

こちらは、ドルチェ&ガッバーナの2018年新作モデルのひとつ「DG7」。18Kピンクゴールド製の径40mmケースには、手作業によるエングレイビングが施されている。ダイヤルはブラックのマザー・オブ・パール製。295万円。



松山猛

Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。バーゼル101年の歴史の3割を実際に取材してきたジャーナリストはそうはいない。



撮影・文/松山 猛

2024

VOL.341

Spring

  1. 1
LINE
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
星のや
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
pagetop