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正礼装も仮装もコスプレには変わりない?

英国では”アスコットモーニング”と呼ばれるスタイルがある。これはアスコット競馬場で女王陛下が臨席くださるロイヤルアスコットのレースの際に着用するスタイルで、グレーシャークスキンのモーニングコートに共地のウエストコートとトラウザーズを合わせ、首元にアスコットタイを結ぶ。映画では、物語の設定が1911年ということもありダブル前のフロックコート(モーニングコートの前身)も多く見られるが、日本では馴染みのないアスコットモーニングのオンパレードは圧巻である。もしもこれを婚礼で着るなら主役の花婿。でも日本でグレーシャークスキンの真っ当なアスコットモーニングを用意する貸衣装は皆無なんだよなぁ。残念。

 となると、狙うは黒のモーニングコートだが、この場合、花婿は主役らしくアスコットタイにブートニエール。父親は控えめに下げネクタイがよろしい。そういえば貸衣装店のお姉さんが「モーニングコートの場合、ネクタイは白黒、もしくはグレーのストライプが決まりです」と言い張ったけど、決してそんなことはない。『イースター・パレード』のラストシーンでフレッド・アステアはスピットルフィールズ地の格子柄の見事なアスコットタイを結んでいたではないか。もっと言ってしまえばピンクのアスコットタイもアリだ。(マイ・フェア・レディの中でイライザの父親が結んでいるアスコットタイがそれ)。ま、ネクタイは自前でいこう。さて貸衣装だが、どれどれ。モーニングコート一式揃えて1万円台から5万円台まで3タイプかぁ。とりあえず全部試着してから決めよっと。

すると突然、倅が「披露宴だけど、お父さんさ、悪いけど余興で得意の西城秀樹の『傷だらけのローラ』を歌ってくれない? もちろん仮装して(笑)」と。

おいおい、それはオカシイだろう! 披露宴の最後は両家の両親が花束を受け取り、花婿の父親が代表してご来場の皆様に挨拶をするんだよ。そのときに仮装のまんまだったら……。もうどうでもいいいや。「モーニングコートは1万円台のヤツでお願いします!」


今月のシネマ

『マイ・フェア・レディ』(1964)
『イースター・パレード』(1948)


[MEN’S EX 2019年4月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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