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最低でも40歳以上にならないと、経験も知識も未熟

「30代はまだ鼻垂れ娘(笑)、40代からが本番と思うようにします」
(加藤さん)

似鳥45年以上やり続けてきて、ようやく今年、全商品の40パーセントのコーディネートを達成できました。来年は一気に60パーセント、再来年は80パーセントにしようと思っています。それが可能になったのは、我が社の20年戦士が200名以上になったからです。商品作りを理解するには、例外的な天才を除いては最低でも40歳以上にならないと、経験も知識も未熟で、難しい部分がある。うちのデザイナーはほとんどが女性ですが、30代は鼻垂れ娘です。加藤さんはまだ30代でしょ?(笑)

加藤まさに鼻垂れ娘です(笑)。でも、世の中は若さがもてはやされることが多いので、40 代からが本番という似鳥さんの見解はなんだかうれしいです。

似鳥ヨーロッパのデザイナーなんかは50代以降が円熟期です。

加藤社員の育成は大変ですか?

似鳥現在の正社員数が6千人弱、パートは2万人、新入社員は毎年550人くらい入ってきますが、彼らには私のようにアメリカの豊かさを見て、感動してもらって「日本人の暮らしを変えることを一生の仕事にしたい!」という志を持ってもらいたいので、入社2年目にほぼ全員、現地へ研修に連れて行きます。それからは3年ごとに、8段階で4以上の評価を得た社員だけを連れて行きます。配転教育も2年目からやって、新しい経験を積ませて、会社を利用して成長してもらい、自分が何に向いているかを見つけてもらう。どんどん競争させて、怠けている社員は置いていく。というのも、30代になって、結婚して、守るものができた後の転職はきつい。20代のうちに自分の身の丈に合った会社に移ろうと決心させるのも、愛情だと思っています。

加藤今は学校教育でも競争に批判的だったりもしますが。

似鳥間違ってますね。社会に出たら、会社自体が競争に晒される。そこで勝つには、社内で競争してないと。加藤さんが伝えるスポーツもみんな競争でしょ。

加藤確かにフィギュアスケートの選手のレベルが上がっているのは、採点がより細かい点数制になって、明解な競争が生まれたからだと思います。あるジャンプを失敗したら、次のジャンプの構成を変えて得点を稼ごうと考えながら滑ることで、進化しています。

似鳥我々にしても変化に対応できる社員を育てないといけません。商品も全1万2000アイテムの内の半分は、ヒット商品であっても一年で変えるようにしています。常に「今ないものを作る」という精神で商品開発をしていて、学生時代のように記憶することより、社会では変わることができるかが大事になる。

加藤ちなみに似鳥さんが欲しい人材をあえて言葉にすると?

似鳥うちの会社には「日本人の暮らしを欧米並みに豊かにする」というロマンと、現在ある500店舗を4年後に1000店舗、その10年後に3000店舗にしたいというビジョンがあります。そのために社員としてどんな役割を果たして、どんな技術を取得して、30歳、40歳、50歳、60歳…とどんな段階を経て、最終的にどんな自分になりたいのか。そこはあくまで自己申告にしていて、会社でも社長のためでもなく、自分のために働いてくださいと。性別も学歴も関係ない。ちょっと横道に逸れますが、私は学歴的には二流大学の出身で(笑)、でもカンニングだけは上手かったんですよ。小学校から大学まで、ずっとどうしたらそれがバレないかという研究に時間を費やしていたので(笑)。

加藤さすが、勝負の仕方が一筋縄じゃないですね!(笑)

似鳥中学くらいのときに親父から「お前は出来が悪いから、人の3倍努力をするか、人と違ったことをやるか、自分で選びなさい」と言われてね。努力はきらいだから、とにかく「人とは違うこと」ばかり考えてやってきましたし、ここに書けないようなこともたくさんやってきましたけど(笑)、商売をやっていると、次から次へとピンチが降りかかってくるものです。でも、だんだんとそれにも慣れてくるというか、今では逆境が来たらチャンスだと思うようになりました。乗り越えれば、何倍もの成果が手に入ります。

加藤何度も荒波を乗り越えてきたから到達できる境地ですね。

似鳥あと、欲しい人材という点では、私はよく「愛嬌と度胸」って言うんですけど、常に笑顔で先輩なんかにも愛される可愛気と、なんでもやってみようという勇気。両方がないとダメですね。

加藤最近の社員が昔と変わったなと感じることはありますか?

似鳥兄弟姉妹が少なくて、大体が長男か長女なので、割合何でも欲しいものは手に入る状況で育っている。家での食べ物にしても取り合った経験が少ないんじゃないですかね。そういう意味で今の人は昔より競争や挫折に弱いかもしれません。私なんかは家がとにかく貧乏だったので、学校に持っていく弁当もご飯だけ。海苔に醤油をかけて食べたり、梅干し一個がおかずでした。読みたい伝記小説も買えなくて、本屋で立ち読みしていたら店員に怒られるし、いじめられもしたし、小学校から挫折だらけの人生でしたよ(笑)。

小樽芸術村

小樽芸術村

ニトリがメセナ活動の一環として2016年に設立した「小樽芸術村」。小樽が栄華を誇っていた20世紀初頭に建造された旧荒田商会、旧高橋倉庫、旧三井銀行小樽支店、旧北海道拓殖銀行小樽支店の4棟を中心に、日本や世界の優れた美術品・工芸品を展示公開。2018年11月にはアールヌーヴォーを牽引したルイス・C・ティファニーの代表的な教会ステンドグラス作品などを展示するギャラリーもオープン。

住所:北海道小樽市色内1-3-1
Tel:0134-31-1033
公式ウェブサイト:https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/

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