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加藤 綾子さん、寺尾 玄さん

自分がいいと思ったことを人に意見されても貫くことはなかなか難しいことですよね
(加藤さん)

寺尾でも、1ヶ月くらいで技術ができあがってしまって、「つぶれてる場合じゃない!」と。当時は私以外に社員とアルバイトの3人しかいなかったので、そこから資金調達、ビジネスや販路の構築、宣伝…全部一人で考えてやりました。結果、「The GreenFan」という名前で2010年に発売したこの扇風機は、3万5千円という強気の価格でしたが、完売しました。

加藤売れたきっかけは何だったんですか?

寺尾印象的な出来事として思い出すのは、トランクに扇風機を入れてライブ会場で家電芸人の方を出待ちして、必死に売り込んだことです。その結果、テレビで紹介してもらって火がついたという感じです。

加藤そんなことまで! 開き直ると人間強いですね。

寺尾開発から販売まで1年半くらいでしたが、あの時期を過ごせたことは今思うと幸せだったなと思います。3ヶ月後に自分も家族も会社もどうなっているかわからない、明日が見えない道を全速力で突き進む。あんなにも命を感じたことはないです。

加藤寺尾さんがすごいなと思うのは、自分がいいと思った製品を信じられること。私は自分がいいなと思っても周りに意見されると「やっぱり勘違いだったかも」とやめてしまうことがある。でも、自分が予想した通りになることもあって、「なんであのとき、自分をもっと出さなかったんだろう」と思うことがあります。

寺尾人生最大のピンチでしたけど、最大のチャンスだと思ったんです。高校を中退して、旅に出て、音楽も挫折して、会社を始めて5年くらい経って、ずっと自分のクリエイティブと社会との接点を探し続けてきたのに空回りばかりで、人間と関わりたくてしょうがなかった。だから扇風機が受け入れられたら、「やっとチャンスを掴める!」と思いました。

加藤ちなみに音楽を諦めたとき、どうして物作りの会社を始めようと思ったんですか?

寺尾ロックスターになると思っていた人間なので、人を感動させるとか人の役に立つという気持ちの延長線上で、ここからは商品を通じて自分のクリエイティブを伝えたいなと。マーケティング調査をしてから曲を書くのではなく、ロックスターのように、自分やバンドの中から溢れ出てくる音をベースにした物作りをしたいと思いました。

バルミューダ「The GreenFan」

バルミューダ「 The GreenFan」

2010年の発売から8年。30万台を超えるロングセラー商品となった扇風機「The GreenFan」。バルミューダ独自の二重構造の羽根により、一般的な扇風機に比べ約4倍に広がる風が、自然界のそよ風を再現。部屋中に優しい涼しさを送り、体を包み込む。大切な方へのこの夏の贈り物にも!各3万6000円
http://www.balmuda.com/jp/greenfan/

(後編へ続く)

スペシャルフォトギャラリー

[MEN’S EX 2018年6月号の記事を再構成]
撮影/前 康輔 スタイリング/後藤仁子 ヘアメイク/平山直樹(wani) 文/岡田有加(edit81)

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