大本命の登場で加速する日本のE-BIKEマーケット
世界最大のスポーツ車ブランドが放つ電動アシストクロスバイク
2018年、年明け早々から「E-BIKE元年」というワードが飛び交った日本の輪界。しかし、メーカー各社の期待に対して、ユーザーサイドの反応は冷ややかだった。E-BIKE一色といっていいほど加熱し続ける欧州との温度差を感じざる終えない日本のスポーツバイク市場だが、そのジレンマを打ち破るきっかけとなりうる、大本命がついに登場した。
日本国内でE-BIKEが主導権を握る可能性
海外のブームから遅れること数年、日本で「E-BIKE」という言葉が飛び交うようになった昨年の秋。ボッシュ、シマノが立て続けに日本国内向けのE-BIKE用ユニットを開発・発表することで、ついに日本にもE-BIKEの波が到来! そんな気運が高まった。
既存のスポーツ車ブランドからはもちろん、異業種からもその流れに乗るべく数多くのE-BIKEが立て続けにリリースされ、現在も各種メディアの新製品情報コーナーを賑わせている。だが、これまで自転車を趣味のひとつと捕えてきた”スポーツすること”を前提としている既存のスポーツバイクユーザーはほぼ無反応。このスポーツバイクの形をした電動アシスト車を素直に受け入れてはくれない。
低迷する国内のスポーツサイクル市場で新規ユーザーを獲得することこそがE-BIKEに託された命題であり、メーカー側の思惑なのだろうが、自宅から駅までの足としてしか自転車というツールを捕えていないであろう大半の人々にとって、電動アシスト車がスポーツバイクの姿をしている必要はない。
半値以下で新車を購入できるママチャリで十分だ。E-BIKEをこれまで存在しなかったまったく新しい自転車として、ライフスタイルを変えてくれるかもしれないツールとして訴求し、ユーザーを振り向かせるためには、ママチャリ文化が根付いているこの日本において、魅力にあふれたモデルが必要なのかもしれない。
ついに動き出したスポーツバイク界の巨人
電動アシスト車のパイオニアであるヤマハをはじめ、パナソニック、ミヤタほか、複数のブランドがすでに日本のレギュレーションに合わせたE-BIKEをリリース済みだが、海外のメジャーブランドは想像以上に慎重だ。
唯一、素早い反応を見せたのはトレックのみでこの秋、ようやくメリダがMTBタイプをラインナップに追加したばかり。しかしここにきて、ついに世界最大のスポーツ車ブランドとして名高い「ジャイアント」が日本向けのE-BIKEを発表、デリバリーの準備を整えてきた。
実はジャイアントが日本向けにE-BIKEをリリースするのは、今回が初めてではない。2012モデルとして、すでに日本向けのE-BIKEをいち早くそのラインアップに加えていた。
海外でE-BIKE人気に火がつきはじめた頃、どのブランドよりも早く日本の市場に本格的なスポーツタイプの電動アシスト車を投入していたジャイアント。この数年こそ国内ラインナップにE-BIKEの姿は見られなかったが、決してライバルブランドに遅れをとっていたわけではない。
むしろ、日本のユーザーのE-BIKEに対する反応をどこよりも把握できていたスポーツバイク界の巨人は、各ブランドが慌ただしく日本向けのE-BIKEを開発する中、それらの動きを静観しつつニューモデルの開発を煮詰め、再度投入するタイミングをうかがっていたのだろう。そして狙い済ましていたかのようにこの秋、実にスマートな電動アシストクロスバイク「ESCAPE RX-E+」をリリースしてきた。