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【技術提携】

’50?’60年代は、新潟県「チヨダシューズ」の下請けとして同社の靴づくりを主軸に、グッドイヤーウェルト製法の設備を整える。’60年代半ば、祖父が英国視察の機会を得た。現地で出会ったバーカー社3代目のアルバート・バーカーと意気投合し、彼が来日。工場見学の後、技術提携が始まったのだ。英国から多くの木型やパターン、製作見本の靴や材料などが送られてきた。すべてに仕様書が付き、出来上がった靴を送っては、つくりの具合や細部にわたって点検してもらう。やがて、「宮城興業」最高峰のブランド「バーカー」として、ライセンス生産し百貨店に卸すようになった。

【ロングセラー】

「リーガル」の靴の生産も長い間担った。生産比率が半分以上のときもあったが、「自社ブランドを立ち上げなければ」と、高橋社長は当時コンフォートシューズに注目する。サイズ展開の豊富な”ベーシック35″が’92年に誕生。’97年にはコンフォートシューズの本家、ドイツの方法を取り入れた”エスティ・リラックス”を投入した。これはいまも同社を支える柱のひとつになっている。

【ターニングポイント】

「宮城興業」の名が知られるようになったのは、2004年に登場したカスタムメイドの”謹製誂靴・和創良靴”である。生産量での勝負ではなく、さらなる品質への追求に転換した。腕利きの工場スタッフを集めてプロジェクトチームを編成し、靴のモデル名につくり手である社員の名前の一部を入れた。大量ではなくとも、安定した受注に加え、社員の意欲も上がったのだ。そこから発展したのが「ミヤギコウギョウ」ブランドの既製靴。世界的にも評判が広がり、ノルウェー・オスロの名靴店「スコマーケー・ダゲスタッド」での販売も、つい先日始まった。

【ポリシー】

高橋社長いわく、「デザインがよく、革が上質で、格好いいという意味で”Good”。靴が足にきちんと合っているかどうかの、正しい意味での”Rig ht”。GoodとRig htを兼ね備えた靴をつくり続けるのが我々の使命です」。

宮城興業の靴作りを拝見!(写真3点)

宮城興業

住所:山形県南陽市宮内2200
TEL:0238-47-31557
ホームページ: https://miyagikogyo.co.jp/



[MEN’S EX 2018年11月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
<b>Good Owner!</b><hr style='margin-bottom: 20px'>2001年、4代目社長に就任した高橋さん。1980年代半ばに、英国バーカー社で技術研修を積んだ。「宮城興業」を改革に導いた辣腕の経営者である。

Good Owner!
2001年、4代目社長に就任した高橋さん。1980年代半ばに、英国バーカー社で技術研修を積んだ。「宮城興業」を改革に導いた辣腕の経営者である。

宮城興業(山形県南陽市宮内2200)

宮城興業(山形県南陽市宮内2200)

ベテラン職人による素早い出し縫いの作業。

ベテラン職人による素早い出し縫いの作業。

裁断した甲革の切り口を染めるほか、コバも綺麗に塗る。仕上げは実に丁寧だ。

裁断した甲革の切り口を染めるほか、コバも綺麗に塗る。仕上げは実に丁寧だ。

マシンを使ったピンキングの裁断。女性と男性の職人を適材適所に配置。

マシンを使ったピンキングの裁断。女性と男性の職人を適材適所に配置。

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