未来予想(2)Shoes
考察6 “仕事にスニーカー”を、“休日に革靴”を履く人が増加中
服装の変化に伴い、かつてスーツの相棒であった革靴市場も大きな変革期を迎えている。靴業界に精通する識者が市場の傾向を踏まえ、これからの靴のあり方と楽しみ方について考察する。
靴市場に精通する識者が考察
[左]伊勢丹新宿メンズ館 紳士靴バイヤー 鏡 陽介さん
バッグやテーラードクロージングのバイヤーを歴任したのち、2023年から紳士靴バイヤーを担当。靴と服どちらにも深い造詣を持つ。
[右]GMT代表 横瀬秀明さん
パラブーツ、トリッカーズの日本紹介に尽力。国内外の靴事情に精通し、国内のトレンドを熟知し。市場を牽引する靴業界の第一人者。
平日はコンフォートに、休日はドレスアップを楽しむなど多様な価値観が生まれた ── 鏡さん
WEEK DAY[Business]
一枚仕立てのイージーセットアップにTシャツ、スリッポンを合わせた、今らしいビジネススタイル。バックパックとも好相性で、長時間着用してもリラックスして過ごせる快適性を重視した着こなしだ。
DAY OFF[Casual]
デニムにミリタリーパンツという休日らしい着こなし。足元にはラバーソールで歩きやすさも確保したUチップを。スニーカーでなくあえて革靴を合わせることで、ワンランク上のカジュアルな装いを楽しむことができる。
スニーカーと革靴、逆転する足元の関係性
鏡 イージーセットアップに、カットソー、足元にはハイブリッドシューズやスリッポン。そんな着こなしが現代のビジネスマンのリアルだということですが、一方で、休日にあえて革靴を楽しむ方が増えているのも興味深い傾向です。
横瀬 以前は、いい革靴=スーツでビシッと決める日のための靴、という考え方が主流でした。そのために、端正に足元を演出するドレス靴にはお金を出す。しかし、最近では、平日は手入れが楽で快適な靴で効率よく働き、休日は自分らしさを表現する装いに投資して、足元は上質な革靴を履く。そのように靴を選ぶという考え方がここ最近は広がっているように感じます。
鏡 週5日のビジネスシーンではスニーカーを履いて、休みの日の週2日で自分らしく革靴を楽しむという。かつての革靴とスニーカーの履き方を考えると逆転現象のようになっているのが面白いです。
横瀬 そういう自分らしい休日スタイルを楽しむために、革靴も自分のパーソナリティや生き方と重ねられるような一足が選ばれるようになっています。
鏡 服はワークやミリタリーなどの休日らしいカジュアルな着こなしでも、足元だけはお気に入りの革靴でドレスアップを楽しむという。革靴が嗜好品としてアイデンティティを語る役割を帯びてきました。
横瀬 かつての“スペック買い”から、“自己表現としての一足”へ。そのように、革靴との向き合い方が、はっきりと変わってきたと感じます。
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み





