未来予想(2)Shoes
考察5 ハイブリッドシューズが靴市場の主力アイテムに
服装の変化に伴い、かつてスーツの相棒であった革靴市場も大きな変革期を迎えている。靴業界に精通する識者が市場の傾向を踏まえ、これからの靴のあり方と楽しみ方について考察する。
靴市場に精通する識者が考察
[左]伊勢丹新宿メンズ館 紳士靴バイヤー 鏡 陽介さん
バッグやテーラードクロージングのバイヤーを歴任したのち、2023年から紳士靴バイヤーを担当。靴と服どちらにも深い造詣を持つ。
[右]GMT代表 横瀬秀明さん
パラブーツ、トリッカーズの日本紹介に尽力。国内外の靴事情に精通し、国内のトレンドを熟知し。市場を牽引する靴業界の第一人者。
東京のビジネス街で最もリアリティのあるシューズ ── 横瀬さん
COLE HAAN(コールハーン)
コールハーン独自の衝撃吸収性抜群のクッションを搭載したプレーントウ。スーツからデニムまでマッチする汎用性の高いデザインが特徴だ。アウトソールに、複数の溝が入れることで屈曲性も確保。
MARIO MINARDI(マリオミナルディ)
イタリアのミラノとパルマで靴づくりを学んだ、創業者が1982年に創業したインドネシア発の革靴ブランド。ウイングチップのクラシックな顔つきのアッパーに、クッション性の高いスニーカーソールを合わせたハイブリッドな一足。
仕事服の自由化が生んだビジネスマンの新定番
横瀬 “快適性”や“実用性”を備えた靴が求められる。そういう点を考えると、東京のリアルビジネスマンから最もニーズがあるのは、このような革靴然としたレザーのアッパーに、スニーカーソールを組み合わせた靴かもしれません。
鏡 まさに、革靴とスニーカーのいいとこ取りですね。見た目はドレス靴、でも履き心地は軽くてクッション性も十分備えている。最近はチャーチのようなハイブランドでも、このようなハイブリッドシューズを積極的に展開しています。
横瀬 近年では大手町のようなオフィス街の企業でも服装の自由化が進んでいますから。イージーセットアップで仕事に臨む都心のビジネスマンの足元には、このようなハイブリッドシューズというのは、非常にリアリティがあるようです。最初はスタンスミスのような休日のスニーカーを合わせる方が多いのですが、シンプルなコートスニーカーはどうしても他の方と被りやすい。そこで、“革靴顔”のハイブリッドシューズでさりげなく差をつける。そんな流れが生まれています。
鏡 面白いのは東京だけでなく、ニューヨークやロンドンなど世界中の都市でも同じような傾向があるということです。都市生活にふさわしいビジネスシューズを突き詰めると、各都市で似た答えに行き着くのかもしれませんね。
横瀬 今の市場では、ハイブリッドシューズは主力カテゴリーと言っても過言ではありません。
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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