楽に履ける構造を持つ、丸トウ×低ドロップが人気〈パラブーツ〉

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未来予想(2)Shoes
考察4 “綺麗”よりも“快適”を感じる作りの靴が人気に

服装の変化に伴い、かつてスーツの相棒であった革靴市場も大きな変革期を迎えている。靴業界に精通する識者が市場の傾向を踏まえ、これからの靴のあり方と楽しみ方について考察する。

靴市場に精通する識者が考察

鏡 陽介さん、横瀬秀明さん

[左]伊勢丹新宿メンズ館 紳士靴バイヤー 鏡 陽介さん
バッグやテーラードクロージングのバイヤーを歴任したのち、2023年から紳士靴バイヤーを担当。靴と服どちらにも深い造詣を持つ。

[右]GMT代表 横瀬秀明さん
パラブーツ、トリッカーズの日本紹介に尽力。国内外の靴事情に精通し、国内のトレンドを熟知し。市場を牽引する靴業界の第一人者。

トウが丸く、ドロップが低い靴が選ばれている ── 横瀬さん

Paraboot(パラブーツ)

パラブーツ
4万6200円(パラブーツ 青山店)

フランス海軍潜水艦部隊に納入されていたデッキシューズをベースにデザイン。撥水性や速乾性に優れたレザーを使用しており、甲板でも滑らない工夫がされたオリジナルラバーソールを採用。

楽に履ける構造を持つ、丸トウ×低ドロップが人気

横瀬 市場の変化として、選ばれる靴の“構造”そのものが変わったと感じます。

鏡 その象徴的な一足がパラブーツのデッキシューズ「バース」なんですね。

横瀬 近年よく手に取られるのは、トウが丸く、つま先と踵の高低差(いわゆるドロップ)が小さいタイプ。足入れが楽で、歩行時の負担も少ない靴です。

鏡 まさにリラックスして履ける設計の靴ですね。フランスのブランドは、移民も多い多民族社会のなかで様々な足型に合う靴作りが発達していて、その強みがこちらにも表れていますね。

横瀬 パラブーツがショップをオープンした2001年当時は、ビスポーク風のキリッとしたドレス靴が席巻していました。登山靴由来のパラブーツは、最初はファン獲得に苦戦していて……。ところが2010年ごろ、このデッキシューズがヒットし始めたあたりから、潮流の変化がはっきり見えてきました。

鏡 今は若い層からの支持がとても高いですね。スニーカーに慣れた20代が、ラフな感覚で履ける“革靴入門”として選ぶケースが増えています。

横瀬 「バース」は、革靴の中の“楽ちん靴”の代表格。つま先にゆとりもあり、サイジングがアバウトでも紐をギュッと結べば履けてしまう。日常でガシガシ履ける実用性も魅力です。

鏡 この十数年で高まったパラブーツ人気は、革靴の価値基準が“美観”から“快適”へ移ったことを物語っていますね。



[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み

2025

VOL.347

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