知的で素敵なLUXURY LIFE 50の実例
膨大な情報に溢れる現代。経験と知識をどう得て、賢く楽しむか? を、衣食住遊~学・整まで、50の実例に。日常に“光=LUX”を与えてくれる新しい価値観をぜひご覧ください。
[実例9/装]
エグゼクティブには行きつけの「人」がいる
気心知れた“行きつけ”をもつことはエグゼクティブの嗜みだが、近年はそれが場所から“人”にシフトしつつある。信頼できる人と交わす、良質なコミュニケーション。その先に、ラグジュアリーライフの真価が見えてくる。

右:レクトゥール 代表 五十嵐裕基さん
ビームスのトップ販売スタッフを経て、2017年に完全予約制のオーダーサロン「レクトゥール」を設立。ファッション業界人からも支持される服作り・スタイル提案に加え、スタッフの働き方改革などにも注力している。
左:会社経営 荒木利尚さん
テレビ番組プロデューサーとして情報・報道・ドキュメンタリー番組を手がけたのち、人材派遣会社を設立。その後広告代理店を経て独立。現在は旭山動物園ライブ配信事業、地方創生プロデュースを行う会社の代表を務める。
マンツーマンだからこそ得られる発見。それが何よりも貴重なんです
──荒木さん
「もはやココは“観光地”だと思っています。訪れるたび新しい発見に心ときめき、エネルギーをチャージできる。そんな場所なんですよね」

そう目を輝かせて語るのは、経営者の荒木利尚さん。東京・神戸に構える完全予約制オーダー服サロン「レクトゥール」に創業以来通う顧客である。同店はお客ひとりひとりに専属の“担当”がつき、毎回同じスタッフが接客にあたるのが特色。顧客の好みを深く理解することで、サービスの質を高めるのが目的だ。荒木さんの担当は、代表を務める五十嵐裕基さんである。

「妙な壁を作らず、正直に接客させていただいています」と話す五十嵐さんに、「全幅の信頼を置いていますから」と合いの手を入れる荒木さん。 「自分のことって、意外なほど自分ではわからない。だから、信頼できる人の意見は何より貴重です。今日着ているグレーのスーツも、自分ひとりだったら選ばなかった。“もうちょっと歳をとってからのほうがいいかな”という第一印象でした。でも“荒木さんに絶対お似合いですよ”と提案されて作ってみたら、これが大正解。コーディネートも色々ご提案いただいているので、もはや私のスタイルは“メイド・イン・イガラシ”ですよ」と目を細める。

とはいえ、荒木さんにとって五十嵐さんは単なるファッション・コンサルタントではない。人生を語り合える仲間でもあるのだ。
「レクトゥールでの滞在時間は毎回2時間ほど。そのなかで、洋服以外の話もたくさんします。お互い経営者ですから、ビジネスのこと、世の中のこと、ちょっと哲学的なことなど、共通の話題が色々とあるわけです。そんなときに、自分では気づかなかった視点を五十嵐さんがもっていたりする。そこから大きなヒントをもらえるんです。思考は常に柔軟でなければいけないと考えているので、これはとてもありがたいことですね。彼と私の最大の共通点は、“万事突き詰めれば『人』である”という思想。本当の豊かさは、お金じゃなくて人間関係です。だから、彼は僕の“行きつけ”なんです」


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[MEN’S EX Summer 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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