メンズ、ウィメンズの区別なく、ブランドの王道はハズして
M.E. さて、今回はそんな堂本さんに秋冬を意識したコートやジャケットをお召しいただきました。堂本さんには、クラシカルな着こなしのイメージは、それほどないのですが。
堂本 衣装とかでは着用しますが、普段はほとんど身に着けませんね。それだけに、こういう機会に楽しんで着させていただいています。いわゆるハイブランドの服の場合、僕はメンズもウィメンズもどっちも見て、気に入ったものを手に取る感じです。メンズ、ウィメンズという言葉があるから使っていますが、本当にどちらも区別なく。10代の頃から古着が好きすぎて、いっぱい服を見ることから始まり、メンズ、ウィメンズ関係なく、いろいろミックスして着てきました。ウィメンズだとちょっとタイトなものを選べるし、メンズよりもデザイン性の高いものが多いですよね。ウィメンズとメンズとを混ぜて、上がオーバーサイズだったら、下はタイトとか、その逆だったり、独自のシルエットを作っていく。どのブランド服にしても、そういう着方が結構好きです。それから、それぞれのブランドの定番とか王道があると思うんですが、そこから逸れているアイテムを探すのも好きですね。それって、そのブランドにとって、挑戦ということですもんね。それまでのラインになかったものにトライすることには、いろんな意味が含まれていると思います。そのメッセージに応えるという感じですね。
M.E. 堂本さんのインスタに、「#ファッションも心も着たい色を着ればいい」という言葉が何度か投稿されていましたが、その精神に繋がるものを感じます。
堂本 やっぱりアタマで考えて着たくないなとずっと思っています。あーカッコいい、カワイイ、もうそれだけで十分。僕は、ステージ上で着たいものを着られたり、俳優やミュージシャンや芸人などなど、いろんな方々と番組やステージをつくり上げる世界で生きているので、結構強気で「着たいものを着ればいい」って言えると思うんです。でもスーツを着て会社に行かなくてはいけない人たちの場合、上司から何か言われそうで冒険できなかったり、女性でもヘアスタイル、メイク、リップ、ネイル、いろいろあるのに制限されることもありますよね。最近は柔軟な考え方の会社も増えてきたのかもしれませんが、まだ難しいところもある。好きなものを着て、その人のモチベーションが上がって、業務成績も上がったら、それがいいと思いますけどね。
環境を意識し、世の中を元気にするファッション
M.E. 堂本さん自身がファッションアイテムをプロデュースされたりもしていますが、その中で環境に配慮したサステナブルなものに対する意識も語っていらっしゃいました。その点はいかがでしょうか?
堂本 7、8年ぐらい前ですかね、そういうアプローチをしているブランドさんで、気になっているところがあって、そこを通してそういう考え方を理解するようになったんです。環境に優しい服があって、自分の好きなファッションで地球に何か貢献できるなら、じゃあこれ買ってみようかと。売上が環境保護団体に寄付されるシステムと一緒にリリースしているケースもありますし。もし服を10着買うとしたら、全部がそうではなくても、1着2着はそういうものを買えたらいいんじゃないかと思いますね。
M.E. 堂本さんにとって、装うとは?
堂本 コロナ禍のステイホームの時間、皆さんは「服いる?」って思いませんでしたか。僕は、急に仕事も止まってしまい何したらいいんだろうっていうときに、気分を上げるためにわざと派手な服を着て家で過ごしたりしていました。「あの服あったよな」っていう20代前半に買っためちゃくちゃ派手な刺繍のベストとかを引っ張り出してきて、別に誰も見ていないのに、それを着て1日楽しんでみたり。ファッションって、やっぱり気分を上げて楽しむものだと思うんですよ。モヤモヤした気持ちになったり、自信がなくなったりするときに、自分を強くさせてくれるものでもあると、コロナ禍の時間に、ものすごく再認識したんです。だから今、もっともっと着たい服を着ようと思っていますね。
M.E. 堂本さんが演じられた沢田に対するメッセージのようでもありますね。今、ご自身が一番着たい服とは?
堂本 昔から本当に変わってなくて。古着ミックスみたいな日もあれば、ハイブランドコーデしている日もあるし、ゴハン食べにいくときがあれば、場所に合わせてちょっとカチッとしたり、シックにしたりもしますし。そのときどきで、結構ガラッと変わりますね。ライブで、めちゃくちゃ変態的な服着てるときもありますけど、それってライブに来てくれている人に対して「僕がこんだけブッ飛んだ服着てるんだから、みんなもっと好きなもの着ていいんだよ!!」「これやったらアカンなんてないからな!!」というエールにもなっている。それでいて、ステージからアウトして着替えたら、もう普通に黒いTシャツに短パン履いて、ビーサンで帰ったりしますから(笑)。ファッションって、やっぱり自己表現であり、自分でいられること、自分に自信を持たせてくれるものだと思うんです。今一度、ファッションに集中して、休日だけでもいいから、すっごいオシャレして出かけて欲しいですね。そして世の中を元気にしましょう!!
ファッションは自己表現であり、自分自身でいられること。アタマで考えて着たくない。
「まる」に翻弄されるアーティストの数奇な日常を描く
美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男・沢田(堂本 剛)。独立する気配もなく、気力さえも失い、言われたことを淡々とこなす日々。ある日、 通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で職を失う。部屋に帰ると床には蟻が1匹。その蟻に導かれるように描いた○(まる)が思わぬ評判を呼び、一躍時の人となるも、日常が○に翻弄され始め、思わぬ展開が……。監督・脚本;荻上直子/共演;綾野 剛 / 吉岡里帆、森崎ウィン / 柄本明 / 小林聡美ほか/製作・配給アスミック・エース/10/18ロードショー。
堂本 剛 Tsuyoshi Domoto
1979年奈良県生まれ。’95年ドラマ『金田一少年の事件簿』シリーズで俳優としてデビュー。その後’97年にKinKi Kidsとして歌手デビューもはたす。以降、歌、踊り、トークとマルチにこなすアイドルとして絶大な人気を博す。2002年、堂本 剛のクリエイティブプロジェクト、.ENDRECHERI.(エンドリケリー)を展開 。ジョージクリントンに感銘を受けながら、日本では希少なファンクミュージック作品を日本の音楽シーンと向き合い作り続けてきた。2022年には、ファンク専門の米音楽メディア「Funkatopia」が選ぶ「2021年のファンクアルバムベスト20」に『GOTO FUNK』が選出され話題となる。2024年には全国7都市を回る全国ツアーを開催し、堂本 剛としては8月30日、31日、9月1日に京都は平安神宮にて14回目となる単独公演を開催。近年の映画出演作品には、『銀魂』(’17/福田雄一監督)、『銀魂 2 掟は破るためにこそある』(’18/福田雄一監督)がある。
[MEN’S EX Autumn 2024の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み。