チリワインの実力を世界に示した「ベルリンテイスティング」を知っているか?

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チリワインの実力を世界に示した「ベルリンテイスティング」を知っているか?

チリワインの素晴らしさ、ポテンシャルを世界に知ってもらいたい――。チリの老舗ワイナリー「ヴィーニャ・エラスリス」の一族に生まれたエデュアルド・チャドウィック氏は、1980年代にワイン造りに携わって以来、一貫して、チリワインの地位向上に心を砕いてきた。

パイオニア精神とチャレンジ精神に満ち溢れ、情熱という言葉がぴったりな造り手。現在、「ヴィーニャ・エラスリス」「セーニャ」「ヴィニエド・チャドウィック」「ドン・マキシミアーノ」といったブランドを有し、世界のトップワインと肩を並べるファインワインを造り続けている。

チリワイン

チリワインは「安くて、そこそこ美味しいワイン」というイメージをお持ちの方も多いだろう。だが、そんなチリワインのイメージをガラリと変えるべく、エデュアルド氏が行ったのが2004年に開催された「ベルリンテイスティング」である。

ワイン愛好家なら「パリテイスティング(パリスの審判)」というテイスティングイベントについてご存じの方も多いだろう。1976年に行われたテイスティングイベントで、専門家たちがカリフォルニアワインとボルドーのトップワインとをブラインドで比較。その結果、下馬評を裏切って、カリフォルニアワインがボルドーワインよりも高評価を得たという、歴史的な出来事として今に語り継がれているイベントだ。

イタリアの名だたるワインたち

2004年のベルリンテイスティングでは36人の専門家が集い、エデュアルド氏が造るワインとフランス、イタリアの名だたるワインとがブラインドで比較した。その結果、シャトー・マルゴーやシャトー・ラフィットといったワインを抑えて、見事1位を獲得したのが「ヴィニエド・チャドウィック2000」だったのだ。

2004年以降、同様のイベントは世界中で行われ、チャドウィックのワインは常に上位にランクイン。2006年に東京で行われた際は、1位をシャトー・ラトゥールに譲りこそすれ、2位から5位まではチャドウィックのワインがその地位を占めた。

エドアルド氏

ベルリンテイスティングを開催するのに先駆けて、1990年、エデュアルド氏は「オーパスワン」の造り手であった、ロバート・モンダヴィ氏をチリに招聘。カリフォルニアワインの巨匠はチリのテロワールの素晴らしさを感じ取り、1995年に両社はワイナリー「セーニャ」をチリに立ち上げた。「セーニャ」もまた、ベルリンテイスティングでは高評価を獲得し、快進撃を続けている。

実はチリにおいてワイン造りが本格的に始まったのは19世紀半ばごろ。カベルネ・ソーヴィニョンやメルローといったボルドー系のブドウ品種の栽培が進められたのだ。「ドン・マキシミアーノ」や「セーニャ」もカベルネ・ソーヴィニョン主体のワインで、そのブドウはチリのアコンカグア・ヴァレーというエリアで栽培されている。実はここは「栽培天国」と称されるほど、ブドウの栽培に適している土地。

エデュアルド氏の祖先にあたる4代目当主のドン・マキシミアーノ・エラスリスがテロワールを重視し、1870年代に、アコンカグア・ヴァレーをブドウの栽培地として選んだことが始まりだ。その際に重視したのが「テロワール」であり、「優れたワインは優れた畑から生まれる」というのがドン・マキシミアーノの哲学だった。

エドアルド氏

今回、エデュアルド氏が来日し、「ベルリンテイスティング」の20周年を祝うテイスティングイベントが東京・日本橋のマンダリンオリエンタル東京にて行われた。テイスティングのナビゲーターを務めたのは日本ソムリエ協会会長の田崎真也氏。

テイスティングは以下。エラスリスの創設者の名を冠した「ドン・マキシミアーノ」の1984年、2005年、2021年。「セーニャ」の1998年、2008年、2018年、2021年。「カイ」の2010年、2015年、2021年。「ヴィニエド・チャドウィック」の2000年、2014年、2021年。

テイスティング会場

ワイナリーの祖である「ドン・マキシミアーノ」の名を冠したワイン、そして、エデュアルド氏の父に捧げた「ヴィニエド・チャドウィック」、国際的なジョイントベンチャーとして成功した「セーニャ」、そして、チリを象徴するブドウ品種であるカルメネールを主体にした「カイ」。それぞれ、エデュアルド氏の故郷、そして、家族への想いが詰まったワインだ。同時に、氏の飽くなき探求心と情熱が詰まったワインでもある。

エドアルド氏

中には40年という熟成を経たものもあったが、その味わいは驚くほど豊かで、どのワインも堂々たるものであった。きっと20年前のテイスターたちもその完成度に驚いたことであろう。年代を追ってテイスティングを行うと、それぞれのワインが進化していることにも気づかされる。今回、田崎氏もチャドウィックのワインの進化の過程を一緒に旅してほしいとの思いで、これらのワインをセレクトしたと語る。

エドアルド氏、田崎真也氏

家族の想いを受け継ぎ、チリを代表するファインワインとして、自らのワインを世界中のワインラバーの記憶に刻んだエデュアルド・チャドウィック氏。世界中で高く評価される“一貫性”のあるワインを造り続けてきた功績は大きい。そして、そのワイン造りの情熱は次世代へと受け継がれつつある。高いポテンシャルをもったチリワインのさらなる進化に期待は膨らむばかりだ。

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