フランス芸術文化勲章シュヴァリエやパリ市芸術大賞、木村伊兵衛賞などを受賞し、「光」をテーマに世界的に活躍した写真家 田原桂一の展覧会「OPÉRA de PARIS」が7月28日(日)まで東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで開催されている。
フランス政府の依頼を受け、田原桂一は1987年から1994年まで約8年の歳月をかけて、パリのオペラ座を撮影した。当時、オペラ座の責任者だったピエール・ベルナール氏は、自然光の中、長時間露光することで被写体がドラマチックな雰囲気と質感で表現される田原独自の撮影スタイルが、オペラ座を撮影するのに最適だと考えたそうだ。
撮影はオペラ座の壮麗な建築やしつらえだけではなく、華やかな衣装や宝飾、さらには舞台装置の表と裏に至るまで、オペラ座全体が記録された。約550点に及ぶ作品は、1995年に「ARCHITECTURE(建築)」「COSTUMES(衣装)」「 BIJOUX(宝飾)」「 MAQUETTES(舞台美術)」 の 4 冊からなる大判写真集「OPÉRA de PARIS」として出版。この写真集は世界中で高い評価を受け、オペラ座の美しさを多くの人に知らしめるものとなっている。
本展では、写真集「OPÉRA de PARIS」の中から厳選された作品約30点を、オペラ座の世界観をイメージした会場に展示。また会場では2,000冊限定で出版された貴重な「OPÉRA de PARIS」原本や、写真集をもとに制作された映像を見ることができる。
「先へ先へと進むばかりでなく、過去をふりかえり検証する事の面白さも、いま忘れてはならないことなのかもしれない。」というコメントを田原桂一は1996年に残している。芸術の都パリを象徴する美の殿堂、オペラ座。歴史と美に彩られた堂々たる空間と真っ向から対峙し、独自の審美眼で切り取った写真は、今なお色あせることはない。時代を超えて、受け継がれる田原桂一の美意識にぜひ、触れてみてほしい。
Profile:田原 桂一
1951-2017年。京都府生まれ。1971年に渡仏。そこで出会った日本の柔らかい光とは違う、ヨーロッパの刺すような鋭い光に衝撃を受け、写真家として活動を始める。以降2006年までパリを拠点とし、光をテーマに写真、彫刻、インスタレーション、建築と幅広く活躍。77年に「窓」シリーズでアルル国際写真フェスティバル大賞を受賞、一躍世界的な脚光を浴び、日本、ヨーロッパにて数多くの展覧会を開く。以後、木村伊兵衛賞、ニエプス賞、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、パリ市芸術大賞など受賞を重ねてきた。また、カルティエ、ドン・ペリニヨンなど世界的ブランドのブランディングコンサルタントとして数多くの広告、企画を手掛ける。2017年には、プラハ国立美術館にて、舞踊家 田中泯を被写体としたシリーズ「Photosynthesis 1978-1980」の世界初となる大規模な展覧会が開催された。テレビ朝日にて2020年3月まで放送された株式会社ポーラ提供番組「白の美術館」では、番組の企画から携わり、2017年4月から6月まで出演した表現者のポートレート撮影を担当した。
http://www.keiichi-tahara.com/html/
展覧会名:田原桂一「OPÉRA de PARIS」
会期:開催中~2024年7月28日(日) ※会期中無休
開館時間:11時~19時 (入場は18時30分まで)
入場料:無料
会場:ポーラ ミュージアム アネックス(中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階)
URL:https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/