2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
時計のメカニズムを作った先人たち
時計によって時間は、宗教や哲学ではなく科学の領域となった。その進化の過程は、科学者や職人たちによる発明の積み重ねだった。
テンプを発明した
クリスティアン・ホイヘンス
偉大な科学者による発見・発明
振り子を使った最初の時計の成功例は1656年、オランダの科学者クリスティアン・ホイヘンスによって成し遂げられた。彼は、振り子の等時性は、振り幅が極めて小さいときに限られることを発見。そして振り子を2枚の板の間に取り付け、振れる幅を制御することで、極めて正確な振り子時計を作り上げた。
また弾性の法則で知られるイギリスの科学者ロバート・フックは、板バネを螺旋状にしたゼンマイの伸縮でも振り子の等時性は成り立つことを発見している。そしてこれを、時計に応用したとの記録も残る。
同様にホイヘンスも、軸が備わる金属の輪(テンプ)に細いゼンマイ(ひげゼンマイ)を取り付けたものを、振り子代わりとした時計を1675年に発明している。これにより時計は飛躍的に小さくなり、携帯可能な懐中時計への道筋が開かれた。
世界最古の振り子時計
オランダの「ダッチ・クロックミュージアム」が所蔵する、ホイヘンスが時計職人に作らせた振り子時計の1つ。振り子の取り付け部に振り幅を制御する板が見える。
ひげゼンマイによる等時性の確率
ホイヘンスが考案した、ひげゼンマイとテンプの図。台座の上の同軸上にひげゼンマイとテンプが載り、その振動周期で下側の歯車を正確に進めるしくみだ。
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『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ【複雑時計編】』
定価:2,420円(税込)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
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