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独自のスプリングドライブに3つのモードを選べるソヌリ機構
日本的な音色を響かせる国産初のチャイミング機構
機械式と同じゼンマイを動力源とし、ICと水晶振動子とで制御する──スプリングドライブは、1999年にセイコーから発売されたが、その製作を担うのは、長野県塩尻市を拠点とするセイコーエプソンだ。その中で、特別な仕上げや機構を持つムーブメントを専用に製作するマイクロアーティスト工房から2006年、毎正時の訪れを鐘の音で知らせる国産初の「ソヌリ」機構が、スプリングドライブで生み出された。時打ち機構と時刻の読み取り機構は、いずれも大きなトルクを必要とする。クオーツ式の小さなモーターではとても動かせないが、スプリングドライブのゼンマイによるパワーであれば可能。ダイヤルを取り去り、露わになったムーブメントには、ゼンマイとソヌリのハンマー、時刻を読み取る櫛歯やカムの姿が見て取れる。そして各パーツは、人の手で入念に仕上げられている。
ソヌリ機構には、一般的なリング状のゴングではなく、仏具メーカーに製作を依頼したお鈴(オリン)を採用。ムーブメントの裏蓋側全体を覆うサイズのお鈴は、柔らかく涼しげな音色で時を知らせる。打刻音が発生する脱進機を持たないスプリングドライブは、ソヌリの音色を邪魔しない。そしてソヌリの調速ガバナーも空気抵抗を利用した無音とし、お鈴の音色だけが純粋に鳴り響くようにした。
毎正時に自動的に時刻の数だけ鐘を鳴らすソヌリモード、12時・3時・6時・9時の3時間毎に3回鐘を叩くオリジナルモード、そして鐘を鳴らさないサイレンスモードを装備。各モードの切り替えはリューズで行い、8時位置のボタンを押すと現在時刻の時数分を打つアワーリピーター機構も装備する。
マイクロアーティスト工房は、設立からわずか6年で、これほど複雑なメカニズムを完成させた。そのお鈴による音色は、日本の情緒までも感じさせる。
この機構が凄い!
【Point 1】
ゼンマイと水晶を持つスプリングドライブ機械式と同じゼンマイで発電ローターとコイルを駆動。それで得た電力でクオーツ(水晶)振動子とICを作動させ、発電ローターに電磁ブレーキをかけつつ1秒間に8回転に制御し、針を動かす歯車の回転速度を一定に保つ。すなわち機械式とクォーツ式のハイブリッドだ。
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【Point 1】
ゼンマイと水晶を持つスプリングドライブ
機械式と同じゼンマイで発電ローターとコイルを駆動。それで得た電力でクオーツ(水晶)振動子とICを作動させ、発電ローターに電磁ブレーキをかけつつ1秒間に8回転に制御し、針を動かす歯車の回転速度を一定に保つ。すなわち機械式とクォーツ式のハイブリッドだ。
【Point 2】
6時位置のセレクターで選べる3つのソヌリモードソヌリの3つのモードは、リューズを1段引き出した状態で、左右いずれかに回して切り替える仕組み。各モードは、6時位置のセレクターで表示され、リューズを右に回すと「ORIGINAL」→「SILENCE」→「SONNERIE」の順に、左に回すとその逆に順に切り替わる。
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【Point 2】
6時位置のセレクターで選べる3つのソヌリモード
ソヌリの3つのモードは、リューズを1段引き出した状態で、左右いずれかに回して切り替える仕組み。各モードは、6時位置のセレクターで表示され、リューズを右に回すと「ORIGINAL」→「SILENCE」→「SONNERIE」の順に、左に回すとその逆に順に切り替わる。
【Point 3】
現在時刻の時数を打つアワーリピーター機構8時位置のボタンを押せば、現在時刻の時数分を打ち鳴らすアワーリピーター機構も搭載。上の写真の時針の下側に、時の数を読み取るアワーラックが見えている。またソヌリ作動中にボタンを半押しすると、押している間だけ鐘を打たない鳴り止め機能も備わる。
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【Point 3】
現在時刻の時数を打つアワーリピーター機構
8時位置のボタンを押せば、現在時刻の時数分を打ち鳴らすアワーリピーター機構も搭載。上の写真の時針の下側に、時の数を読み取るアワーラックが見えている。またソヌリ作動中にボタンを半押しすると、押している間だけ鐘を打たない鳴り止め機能も備わる。
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※表示価格は本書発売時(2023年9月1日現在)の税込み価格です